今トレンドの香りは、おいしそうなグルマン系

 世界的な香りのトレンドに、「グルマン」というジャンルがあります。その名の通り「おいしそう」な香りのことです。フルーツやお菓子は言うに及ばず、カクテルなどをこのグルマンに入れてもいいでしょう。少し前に流行した、むせるようにセクシーなオリエンタル系よりも日本人には採り入れやすいかもしれません。

 例えばゲランの「ロム イデアル」という香水は女性から見た理想の男性という意味。そこのキー香料にアーモンドが使われているんですね。また、ダンディズムで知られる老舗のアラミスでさえ、比較的新しい作品の「アラミス ブラック オーデ トワレ ナチュラル スプレィ」は、甘いコニャックが使われたグルマン調です。その昔、アランドロンがプロデュースし、三船敏郎がイメージといわれている「サムライ」という香り。実はこれにもジャスミンやローズといった香料が使われているのですが、全面的にクールでセクシーな香調の中にフローラル要素が隠されているものです。

甘いコニャックなどおいしそうな香りもトレンド (C)PIXTA
甘いコニャックなどおいしそうな香りもトレンド (C)PIXTA

 ファッションと同じく、香りのトレンドも変わりますし、そしてリバイバルもします。実はグルマンや甘さ、優しさといったトレンドから再びフゼア系(シダや苔のイメージの香り)と言われるクラシカルでマスキュリンな香りというのもちらほらクローズアップされてきています。まさに、流行は巡るのです。

悪いニオイなんてこの世にないらしい

 香りと並んで話題に出るのが、ニオイの問題。体臭や口臭などの「悪臭」といわれるものです。でも、先日読んだ『ザ・ビューレック』2016年7月号に記載されていた東京大学大学院教授の東原和成さんのコラムによると、「悪いニオイは存在しない」のだそう。つまり、あるニオイを嗅いでそれ自体が悪さをするということはない、ということ。ただし、不快だと感じることはあり、それがストレスとなって巡りめぐって自律神経系や内分泌系に影響を与えるということはあるのだとか。

 ちょっとややこしいですが、ニオイそのものが悪さをするのではなくて、それをどういう風に受け取るかという問題なのです。そう考えると、ボクたちが普段「いい匂い」「嫌なニオイ」と言っているのは非常に個人的な問題だ、ということです。そこには慣れや経験というパーソナルな要素が密接に関わってきます。世の中には加齢臭が好きな人だっているし、タバコの煙を嫌悪する人もいる。もちろん、その逆も。それほど、嗅覚に関する反応はさまざまです。

 ただし、多くの人を不快にさせるニオイはあります。その辺の兼ね合いをうまく見つけること。分かってはいるけれど、これが案外難しい。そして固定観念で香りを決めつけないことも大切ですよね。パーソナルにそしてソーシャルに香りを楽しみ、悪臭をさせないようにしたいものです。その上で香りに対する選択肢が広い社会って、きっと住みよいはず。それがダイバーシティーってことではないかな、と年の初めに思うのでした。これを機会に、貴女の美容常識を考え直してみませんか?

文/藤村岳 写真/PIXTA

■関連リンク
ザ・ビューレック2016年7月号

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