女性シェフに聞く、本日のメニューのポイント

 今回のランチで腕を振るってくださったのは、ザ・リッツ・カールトン東京で活躍する5名の女性たちです。改めて、本日のお料理のこだわりについて伺いました。

見た目にも味にもこだわったカクテル
「ウェルカムカクテル」
【ザ・バー】バーテンダー 日高理恵さん

 まずは、ウェルカムカクテルを出してくださったバーテンダーの日高理恵さん。バーテンダー歴は10年以上、イギリスのホテルでも修行を積んできました。

「皆さんこの後もお仕事があるということですので、ノンアルコールのカクテルをおつくりしました。シャンパーニュとソーダを合わせて、さっぱりとした口当たりにしています。また、見た目にもこだわりました」

グラスの縁にはドライフランボワーズ。グラスの根元に添えられた一輪の花と共に、とても華やかな印象のカクテルでした。

 初めてバーへ連れて行ってもらった時に、その場の雰囲気に魅了され、バーテンダーを志したという日高さん。「見られる仕事」ですから、表情や立ち居振る舞いにはいつも気を配っているそうです。

 「ザ・リッツ・カールトン東京には海外からのお客様もたくさんいらっしゃいます。2020年の東京オリンピックに向けて、ますますその数は増えるでしょう。この場所から、日本のよさを発信していきたいですね」
料理を通じて「非日常」を味わってほしい
フォアグラのバラエティ
コンソメ煮の冬大根 バニュルスの香り
テリーヌ 菜園野菜のサラダ 青森県産黒大蒜のビネグレットと共に
ブリュレ 金柑のアクセント

【バンケットキッチン】シェフ ド パルティ 江﨑美智子さん

 フォアグラを使った一皿をつくったのは江﨑美智子さんです。普段は結婚式などの宴会調理を担当しています。

 「フォアグラは絶対に使いたかった食材です。フォアグラは日常的に口にするものではありませんから、お皿の上で特別感を楽しんでいただけると思いました」

 宴会調理を担当する江﨑さんは、普段お客様と接することはありません。お客様の目の前で調理をするというのは今回が初めてのこと。いつもとは少し違う緊張感があったそうです。

 「かなり練習をしましたが、それでもやはり緊張するものですね。ただ、目の前で『おいしい!』などという反応を見ることができるのはうれしかったです。お料理はお客様に喜んでもらうためにあるものですから」

常に一歩上を目指して
甘鯛の包み焼き 茸の香り
百合根 ハーブ

【アジュール フォーティーファイブ】スー シェフ 宮島由香里さん

 自らハサミを使って包みを開くというユニークな包み焼きを提供してくださったのは宮島由香里さん。パティシエを経てシェフとなり、現在はフレンチダイニングの副料理長を務めています。

 「鉄板料理に関わるのは初めてでしたので、今日のためにかなり練習を重ねました。このお料理はレストランでもご提供しているのですが、目の前で包みが膨らんでいくところをご覧いただけるのは鉄板焼ならではのシーンです。ご自身で包みを開けていただくことで、香りも存分に楽しんでいただきたいと思いました」

 宮島さんが働く「アジュール フォーティーファイブ」は、ミシュラン一つ星レストランです。常に“さらに上を”という緊張感があるのだそう。

 「私は副料理長という立場ですから、レストランをもっと上へ引き上げていく責任があります。現状維持ではなく、常に一つ上を目指すよう心掛けています。プレッシャーも感じますが、働いている皆が一体となって目標に向かっている状態はとても楽しいものです」
女性にうれしい成分をたっぷり
レディースサラダ 車海老 鮑 キウィドレッシング
オリーブ和牛のフィレステーキ 季節野菜のグリル

【ひのきざか 鉄板焼】ファースト コミ 當間愛梨さん

 當間愛梨さんは、サラダとステーキの2品を出してくださいました。中華、フレンチ、鉄板焼と次々に新たなジャンルに挑戦している女性シェフです。

 「今日のお料理は、女性にうれしい成分を意識したものです。サラダのドレッシングに使ったキウィは、腸の活動を活発にしてくれるといわれています。ステーキは、オリーブ牛のお肉です。オリーブには抗酸化作用のあるオレイン酸が含まれているので、さらにオリーブソースも合わせました」

 フレンチから鉄板焼へ移って3年になる當間さん。目の前のお客様と会話をしながら、好みに合わせた料理をその場で提供できることが面白いといいます。

「中華、フレンチ、そして鉄板焼と、全く違うジャンルではありますが、新しいことに挑戦するのはいつも楽しいです。いつかシェフとして独立することを目標に、腕を磨いています」
アイデアを出し合って一皿をつくり上げる
パイナップルソテー
パイナップルジンジャーアイスクリーム

【ラ・ブティック】ジュニア スー シェフ 齋藤由美さん

 パイナップルを鉄板でソテーするというデザートを考案したのは齋藤由美さん。フランス出身で、2017年に来日したばかりです。

 「鉄板とデザートをどう組み合わせようかと考えた末、最後に口の中をさっぱりさせたいとパイナップルにたどり着きました。ジンジャーアイスも組み合わせることで、より爽やかな味わいにしています」

 スイーツを食べると、皆が笑顔になる。その姿が印象的で、子どもの頃からパティシエに憧れていたという齋藤さん。自分のルーツである日本へ来ることも長年の願いだったといいます。

 「フランスと日本では、働き方が全く違うので最初は戸惑いました。日本は、皆でアイデアを出し合って一皿をつくり上げていくのが面白いですね。いつか、自分のお店をつくりたいと思っています。パティシエという仕事のやりがいや楽しさも伝えていきたいです」

 この日のランチは、サービススタッフも全員女性でした。女性だけのランチ会というのは、ザ・リッツ・カールトン東京としても初めての試みだったそうです。五感で楽しむ、本当に素晴らしいランチでした。「日経xwoman(クロスウーマン)」プロジェクトにも、ぜひご期待ください。

取材・文/藪内久美子 写真/辺見真也