セルフケアは「食生活」から。必要な栄養は?

 一方、月経トラブルとうまく付き合い、元気な赤ちゃんを授かるためにはセルフケアも欠かせません。特に重要なのは、食生活。女性には、どんな栄養が必要なのでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。

【鉄】妊活中から「隠れ貧血」の予防を
 「健康診断でヘモグロビン(血液中の鉄分)が正常値でも、フェリチンと呼ばれる『貯蔵鉄』が基準値に達していない『隠れ貧血』の女性はたくさんいます。
 フェリチン(貯蔵鉄)が少ないと、低出生体重児として生まれてくる可能性が高まったり、アトピー性皮膚炎やぜんそくを発症する可能性が高まるといわれています。そのため、妊活中から鉄分をサプリメントなどで補うことが大切です」(佐藤医師)

【たんぱく質】食べためできない重要な栄養素
 「健康診断でたんぱく質の値が正常値でも、実は『たんぱく質が足りていない』ということはよくあります。血液データの正常値は、あくまでも病気でないことを示す値なので、正常値=理想値ではないからです。
 たんぱく質は、免疫力を高め、筋肉や骨、ホルモン、脳内神経伝達物質などをつくる重要な栄養素。『食べため』もできないので、毎日意識して取りましょう」(佐藤医師)

【葉酸】妊娠の2~3カ月前からサプリメントで補給
 「葉酸は、妊娠の2~3カ月前から取っておく必要のある栄養素です。葉酸が不足すると、生まれてくる赤ちゃんの神経系に障害が出るリスクが上がることが明らかになっているので、妊活中の方はサプリメントなどで積極的に取るようにしましょう」(佐藤医師)

【ビタミンB6】つわり予防&赤ちゃんの健康のために!
 「妊娠中にビタミンB6が足りていないと、つわりがひどくなる傾向があります。反対に、ビタミンB6をしっかりと取っておくと、つわりが軽くなる傾向があります。
 また、授乳初期における乳汁中のビタミンB6不足が、母乳新生児の夜泣きやけいれん発作、落ち着きのなさの原因になるともいわれているので、妊娠中から積極的に取っておくことをオススメします」(佐藤医師)

【亜鉛】味覚障害や妊娠合併症などの予防に
 「亜鉛不足は、味覚障害を引き起こす可能性があります。よく『妊娠すると味覚が変わる』といいますが、これはおなかの赤ちゃんに亜鉛を渡すことにより、お母さんの体に必要な亜鉛が不足してくるからです。
 お母さんの亜鉛が欠乏すると、胎児の奇形や妊娠合併症の確率が増加することも分かっているので、赤ちゃんのためにも自分のためにも、妊娠前から亜鉛を取っておくことが大切です」(佐藤医師)

【ビタミンD】1日15分以上の日光浴を心掛けよう
 「ビタミンDの欠乏は、妊娠糖尿病や低出生体重児、くる病などのリスクを引き起こす要因の一つといわれています。また、ビタミンDが欠乏すると着床率が低くなるという報告もなされているので、不妊治療の面でも重要な栄養素です。
 ビタミンDは、もともとは日光浴をすることによってつくられる栄養素。妊娠前から、食事で足りない分はサプリメントで補いつつ、1日15分以上は日光浴をすることを心掛けましょう」(佐藤医師)