筋肉と睡眠を増やして健康的な体づくりを

 そして赤ちゃんを授かるためには、「栄養面だけでなく健康的な体づくりも欠かせない」と、佐藤医師。

 「体重と身長から肥満度を割り出すBMIは、低ければいいというわけではありません。妊娠に適したBMIは20~22程度とされています。現代の日本人女性は、BMIが低い痩せ型でも、実は体脂肪が多く筋肉が少ない方が多いといわれています」(佐藤医師)

 筋肉が少ないと必要なホルモンをつくりにくくなり、低体温にもなりやすいので、赤ちゃんを授かる体づくりのためには筋肉を増やすことも大切なんだそうです。

 「有酸素運動をすると、脂肪と同時に筋肉も落ちてしまいます。そのため、妊娠前には有酸素運動だけでなく筋トレもして、筋肉をつくるためのたんぱく質もしっかりと取りましょう。そして睡眠も、健康な体づくりには欠かせない要素。1日7~8時間を目指して、自分の体をケアしていきましょう」(佐藤医師)

妊娠を望むなら、今から「プレコンセプションケア」を

 一方、基礎代謝に必要なエネルギーが足りず、お母さんが痩せていると、生まれてくる赤ちゃんも小さくなる傾向があるんだそう。

 「おなかの中であまり栄養が与えられなかった赤ちゃんは、『生まれてもきっとご飯がないな』と判断して、少し食べるだけで栄養を吸収しやすい体になるよう、遺伝子を変えて生まれてきます。

 大人になってから、同じ量だけ食べても太りやすい人と太りづらい人がいますが、こうした体質の違いは、おなかの中にいる時に決まるということが最近の研究で分かってきました。ですから、生まれてくる子どもの将来を考えて、お母さんは妊娠前から栄養状態を良くしておくことが大切です」(佐藤医師)

 栄養不足や運動不足、睡眠不足などが重なると、それが生まれてくる子どもの健康状態にも影響してきます。そのため、現代の忙しく働く女性には「プレコンセプションケア(=妊娠前の体づくり)が重要になってきている」と、佐藤医師。

 「いつか妊娠するときのために今できることは、『栄養』『運動』『睡眠』の3つです。昔からいわれていることですが、私が長年不妊治療に携わってきて、最後に行き着いたところがこの3つでした。皆さんも、もう一度自分の生活を振り返っていただいて、できることから少しずつ改善していっていただければと思います」(佐藤医師)

 「栄養」も「運動」も「睡眠」も、毎日の積み重ね。会場にいる女性たちも、改めてその大切さを実感しながら、セミナーは大盛況のうちに幕を閉じました。

 なお今年11月には、一般婦人科診療やプレコンセプションケアなどを提供する「フィーカレディースクリニック」が東京のオフィス街、日本橋にオープン。働く女性のために夜まで診療する日も設けています。いつか妊娠したいと思っている人は、この機会にぜひ足を運んでみてください。

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