子どもからの言葉やメモに勇気づけられて

 自身も「働く女性」と「お母さん」という二つの役割を担い、どちらかを一生懸命やると片方ができなくなる「役割葛藤」や罪悪感に悩んできたという麓所長。

 「女性活躍が叫ばれる今、家事や育児、介護などをすべて女性が引き受けて、なおかつ活躍なんてできません。

 自分の仕事に対する意欲をパートナーに伝えて、家事や育児に参加してほしいと訴えましょう。男性は言わないと分からないんです。育休を取得した男性を取材すると、パートナーから訴えられて『そうか』と目からうろこが落ち、育児をするようになったという男性が多い。パートナーに積極的に家事育児の機会を与えること。それが、家族が幸せになれる一つの方策でしょう」

 また、自身の子育てに関するエピソードも。保育園の後に二重保育のベビーシッターさんにお願いしていたことについて、大きくなった子どもたちが「(ベビーシッター先の)お兄ちゃんやお姉ちゃんが遊んでくれて、楽しかったよ」と言ってくれたこと。2006年に編集長になったとき、お子さんからのメモが玄関先に置かれていて「編集長になってよかったね、おめでとう。せっかくもらったチャンスだから、身を粉にして働きなさい」と書かれていたこと。

 「ダメな親だったけど、子どもは育つんですよね。大切なのは、時間の長さではなくて質。短くても一生懸命子どもと接する。何かあったら、その都度クリアしていくしかない。今、感じるのは、子どもにとって働くお母さんはとても誇れる存在だということ。ですから、子どもたちに胸を張って、お母さんはこんな仕事をしてるよ、こんなふうに社会に貢献してるんだよと伝えていただきたいと思います」

時に情熱的に、時に優しく語りかける
時に情熱的に、時に優しく語りかける

こんな考え方は捨てて、自分をリスペクトしよう

 女性が陥りやすい3つの考え方について、克服するためのポイントも教えてくれました。

 「私なんてこんなもの、こんな程度」と思いがちな女性には、「皆さんは素晴らしい才能と意欲にあふれています。自分の可能性に蓋をしない。何でもできます」

 「きっと失敗するに違いない……」と思ったら、「ずっと成功し続ける人なんていない。失敗してもいい。そこから学べばいいのだから」というマインドセットを。

 そして、「もう年だから……」という考えが頭をよぎったら、「遅過ぎることはない。キャリアは生涯にわたって変化し、亡くなるその日まで発達する」と思えばいい、とのこと。

 最後は、来場者に向けて、優しく力強い言葉を贈りました。「皆さん、自分で自分を元気づけて、生涯のキャリアを花開かせていただきたい」

文/佐々木恵美 写真/長崎辰一

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