10月8日(日)に福岡国際会議場(福岡・博多区)で行われた「WOMAN EXPO FUKUOKA 2017」。中でもひときわ盛況だったのが、「自分らしいキャリアを築くには~輝く女性になるための生き方・輝き方~」と題したトークセッションです。ポーラで活躍するお二人をゲストに迎え、日経BP社執行役員で「日経ウーマン」元編集長の麓幸子が進行を務めました。

私たちがとらわれている「そうあるべき」という幻想

 トークセッションの前半では4つのテーマに分けて、ポーラ取締役の及川美紀さんが自身のキャリアも振り返りながら、女性の働き方や生き方について語ってくれました。

 セッションはポーラのCM動画の上映からスタートしました。「この国には幻の女性が住んでいる」という印象的なナレーションから始まるこの動画は、無意識のうちにさまざまな「そうあるべき」に縛られ、葛藤する女性たちの姿を映し出します。もし、そんな無数の「幻の女性」の縛りから解き放たれたなら、私たちは、もっと自分らしく働き、生きることができるのではないでしょうか。

 動画は、「これからだ、私」という力強いメッセージで締めくくられ、会場内には、多くの女性たちのうなずく姿が見られました。

「するべき」ではなく「したい」を選んで吹っ切れた

 バブル全盛期にポーラに入社した及川さん。仕事が大好きで、結婚して娘を出産した後も第一線で働き続けてきました。その過程には、やはりさまざまな葛藤がありました。

 セッションの最初のテーマは、CM動画にも出てきた「幻の女性」について。及川さん自身も、昔は、「こうあらねばならない」という「幻の姿」と自分を比べていたと話します。そんな彼女に変化が訪れたのは、出産の後でした。

ポーラ取締役の及川美紀さん(右)と、日経BP社執行役員・「日経ウーマン」元編集長の麓幸子(左)

 「私は出産後、当時の最短産後休業だった生後42日から娘を保育園に入れて働きました。何しろ仕事が面白かったのです。母に『娘がかわいそう』と責められましたが、私は『理想の母親』を押し付けられてなるものかと思い、『この子はあなたの娘じゃなくて、私の娘なのよ。ちゃんと育ててみせるから大丈夫』と母に伝えたんです」(及川さん)

 ずっと働き続けたいという自身の気持ちを大事にして、「子どもを見る『べき』」ではなく、「働き『たい』」を選んだ及川さん。そのことが一つのきっかけとなり、「幻の女性」の縛りを吹っ切ることができたと語ります。

 「結婚したら会社を辞めて家庭に入るべきだ」「子どもは3歳までは一緒についているべきだ」――女性にまつわるさまざまな「すべき」。しかしそれよりも、自分が「したい」という気持ちを大切にしてほしい、と及川さんは訴えます。「すべき」ではなく「したい」を選ぶことで、主体的に動けるようになり、生き方や働き方の質も変わってくるのです。

 さらに及川さんは、「幻の女性」と自分を比べ、自分も周囲もつらくなっている女性たちへ、こんなアドバイスをくれました。

 「妻として、母として、嫁として、何もかも完璧に『こうあるべき』を突き通すのは無理。どれもほどほどでいい。全部100点満点を取ろうとしたら大変。子育て50点、家事50点、仕事50点でもいいじゃない。そうしたら合計150点になる(笑)」(及川さん)

 普段頑張り過ぎている女性たちにとって、救われる気持ちになる金言です。