消化を促す「パイン・デトックス」のススメ

 新デトックスで着目されているのが、生野菜やフルーツの力。特に、パパイヤやパイナップル、キウイなど南国系のフルーツにはたんぱく質分解酵素が多く含まれています。鶴見さんによると、酵素の健康面での研究が進んでいるドイツでは、既に野菜や果物を中心とした「ビーガン」という食スタイルが一大ブームとなっているそうです。

 「残念ながら過去には、日本の食のブームは30年遅れているといわれたこともありました。実際、現在の日本では高たんぱくの食事が推奨される傾向にありますが、アメリカをはじめとする海外では研究が進み、既に次なるブームが始まっています。最も進んでいるドイツで最近話題になっているのは、野菜や果物を摂取する『ビーガン』です。『ベジタリアン』と一口に言ってもいろいろな種類がありますが、『ビーガン』は卵や⽜乳など動物性の⾷品を避け植物性食品だけを食べるのが特徴です」(鶴見さん)

 この状況を踏まえ、鶴見さんと西沢さんはいくつかのフルーツと、そこに含まれる酵素を紹介しました。中でも注目したのは、パイナップルに含まれるブロメラインという酵素。肉などのたんぱく質を分解する働きを持つブロメラインの効果的な摂取方法とは、どのようなものなのでしょうか?

 「酵素は一般的に50度前後の温度で死活するといわれています。中には例外もありますが、パイナップルに含まれるブロメラインも熱に弱い酵素の一つ。そのため、生で食べるのがオススメです。食べきれない場合は冷凍保存しましょう。自然解凍すれば酵素がよみがえりますよ。食前食後・食間など、食べるタイミングは問いません。夜食は身体に悪いと言われていますが、酵素を摂取するためにフルーツを食べるのは、考え方によってはむしろプラスになるかもしれませんね」(鶴見さん)

 「ブロメラインを含むパイナップルを肉などのたんぱく質食品と一緒に食べると、たんぱく質がアミノ酸に分解され、吸収効率が上がります。すると腸に流れ込むたんぱく質が減り、腸内細菌のなかでも特にたんぱく質を好む細菌が毒素の生成をストップします。一部では『胃酸によって酵素が死滅してしまう』という情報もありましたが、パイナップルに含まれるブロメラインは必ずしも胃酸で全部死滅するわけではありません」(鶴見さん)

新デトックスで着目されているのは生野菜やフルーツの力と話す鶴見さん
新デトックスで着目されているのは生野菜やフルーツの力と話す鶴見さん

 「パイナップルは比較的食物繊維も豊富。100グラムに約1.2グラムの食物繊維が入っています。不溶性の食物繊維が1グラム、水溶性の食物繊維が0.2グラム程度。水溶性の繊維は腸内細菌の餌になりますが、実は餌になりにくい不溶性の繊維には別の役割があるんです。最近の研究で、不溶性の繊維は腸壁に刺激を与え、腸壁を守る粘膜成分(ムチン)を作ることが分かってきています。腸の粘膜成分はビフィズス菌などの大好物。そのため水溶性と不溶性、両方の繊維を摂取するのがオススメです」(西沢さん)

 さらにパイナップルには、ビタミンC、葉酸、カリウム、マグネシウムなど女性に不足しがちな栄養素や、肌の保水効果が期待されているセラミド、疲労回復効果を持つクエン酸も含まれています。

「クエン酸といえばレモンをイメージする人が多いかもしれません。しかしパイナップルにもたっぷりクエン酸が含まれています。食べやすいパイナップルは量も採りやすいので、仕事で疲れたとき、クエン酸による疲労回復効果を狙うなら、パイナップルを食べるのも選択肢の一つです」(西沢さん)

新たなるトレンド「新デトックス」には生パイナップルがオススメ
新たなるトレンド「新デトックス」には生パイナップルがオススメ

 新たなトレンドとして注目されている新デトックス。まずは生パイナップルを食べて、腸内環境を改善してみてはいかがでしょうか?

文/華井由利奈 写真/中村嘉昭