水漏れした配管の所有者は誰か

 マンションの水漏れによるトラブルは少なくありません。特に古いマンションに住んでいる人は、万が一に備えて法律の知識を持っておきましょう。

 今回のケースでまず考えるべきは「責任は誰にあるか」という点。問題になるのは、水漏れした配管の所有者は誰か、です。

 民法第七一七条に「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」という項目があります。自分が所有している工作物(この場合は配管)に瑕疵(かし・通常備えるべき安全な性状を欠いていること)があり、損害が発生したらあなたに賠償責任が生じますよ、というものです。相談者はマンションの「所有者」なので、配管の水漏れは持ち主の責任。下の階の人に対して賠償責任があることになります。

責任はいったい誰にあるのか、が重要です (C)PIXTA
責任はいったい誰にあるのか、が重要です (C)PIXTA

 ところが、配管が通っている場所によっては支払い義務が発生しないケースもあるのです。

 具体的には、配管が自分の部屋の床とその下のコンクリートスラブとの間にあれば「専有部分」に当たるので、部屋の所有者の責任になり、漏水による損害を賠償しなくてはいけません。一方、配管がコンクリートスラブと下の階の天井板との間に通っている場合は、「マンションの共有部分」に当たるとした判例もあります。その場合、賠償金はマンションの管理組合が負担することになります。水漏れが起きたら、まずは管理組合や管理会社に連絡し、配管の位置を確認しましょう。