研究に没頭するための逆算マンスリー

太陽ホールディングス 研究本部 大川夏芽さん
太陽ホールディングス 研究本部 大川夏芽さん

<使っている手帳>
マークス(A5)/マークス

 大川夏芽さんが勤める太陽ホールディングスは、電子材料の製造・販売を行うメーカーです。大川さんは研究者として、パソコンやスマートフォンの基板に組み込まれている樹脂材料の研究をしています。

 「研究職は、新しいテーマに挑戦し、将来の事業展開のために種まきを行う仕事です。製品開発とは異なり、週や月単位で『いつまでに何を完成させる』というものは決まっていません。近い将来、製品に役立つのではないか、という仮説をもとに、毎日実験を繰り返しています」

左が手帳本体。仕事で使うには少し華やか過ぎるからと、右の黒いカバーを付けて使っています
左が手帳本体。仕事で使うには少し華やか過ぎるからと、右の黒いカバーを付けて使っています

 太陽ホールディングスには社員同士の親睦を目的とした「レクリエーション」という制度があります。予算は年に1人当たり2万円で、部署ごとに自由に使い道を企画することができます。能を鑑賞したり、高級ホテルでアフタヌーンティーを楽しんだりと、毎年バラエティーに富んだ内容なのだとか。大川さんの手帳には、レクリエーションについて話し合ったときのメモも残っていました。

定期的に行われるイベントのメモは、「前回何を話し合ったか」を思い出すのに役立ちます
定期的に行われるイベントのメモは、「前回何を話し合ったか」を思い出すのに役立ちます

 大川さんのマンスリーページはとてもシンプル。午前中の予定なら上の方、夕方なら下の方と、書くときにおおよその時系列になるようにしています。

 「手帳はすべて黒ペンで書いて、色分けはしていません。ただ、丸や四角で囲むなど、予定によって書き方を変えています」

 使用しているのはフリクションの0.38mm。予定が詰まって読みづらくなった場合は、一部消して、書き直すこともあるそう。

研究に必要な実験のスケジュールを組み立てるためのマンスリーページ
研究に必要な実験のスケジュールを組み立てるためのマンスリーページ

 事前準備が必要な打ち合わせや、実験に必要なサンプルが届く日は予定を四角で囲み、目立たせます。黒一色でも書き方を変えるだけでメリハリがつきますね。その他、いつ、どんな材料を使ってサンプルを作ったかなど、毎月報告が必要な事項はその都度マンスリーページにメモ。後から思い出したり実験メモを遡る手間が省けて、作業時間を短縮できます。

【ポイント】

 重要な予定は四角で囲んで目立たせると、色分けをしなくてもひと目で分かる

 実験は一朝一夕で結果が出るわけではありません。長期スパンで計画を立てることが多いため、月ごとに見渡せるマンスリーがとても便利なのだそうです。打ち合わせの時間帯などを見ながら、いつ、どの実験を進められそうか、逆算して予定を組んでいきます。

<大川さんのマンスリーページに書かれているもの>
・打ち合わせの予定
・原料メーカーからサンプルが届く日
・資料作りのスケジュール
・サンプル作りの記録

 「資料作りも、実験の予定も、逆算するのにマンスリーページが役立っています。取引先のメーカーとのやり取りは数週間先といった案件も多いので、先々まで見通せる点が合っていますね」

セミナーを受講したときのメモ。黒ペン1本できれいに図解されています
セミナーを受講したときのメモ。黒ペン1本できれいに図解されています

デジタルとアナログを用途で使い分け

 手帳にはスケジュールと打ち合わせなどのメモ、実験の内容はメモ帳、プライベートの予定はデジタルと、用途に合わせていろいろなツールを使い分けている大川さん。

 「デスクに戻ってパソコンを立ち上げるより、手帳を開いたほうが楽なので、スケジュールは手帳派ですね。プライベートな予定は、夫と共有しているのでスマートフォンのアプリを使っています。私がいない日や、夫が外で食事を済ませてくる日など、食事の用意に関わることはお互いが確認できるアプリのほうが便利なんです」

 展示会などの外出時には手帳を持参して、聞いた情報はすぐにメモ。読み返してアイデアが生まれることもあるそうです。

急に名刺が必要になったときのため、カバーに名刺を常備
急に名刺が必要になったときのため、カバーに名刺を常備

 お二人とも、マンスリーとメモのみを使う、とてもシンプルな手帳術でした。自分に必要なことだけを凝縮させた手帳と言えそうです。「バーチカルやレフト式の手帳を使い切れない!」という方は、ぜひこのマンスリー活用術を取り入れてみてください。

文/藪内久美子 写真/編集部