竹内結子
1980年4月1日生まれ、埼玉県出身。1996年、TVドラマ「新・木曜の怪談 サイボーグ」で女優デビュー。近年の主な出演作に、映画「チーム・バチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」「なくもんか」「ゴールデンスランバー」「僕と妻の1778の物語」「はやぶさ/HAYABUSA」「ステキな金縛り」「ストロベリーナイト」「ふしぎな岬の物語」、TVドラマ「薔薇のない花屋」「夏の恋は虹色に輝く」「ストロベリーナイト」「ダンダリン 労働基準監督官」「大空港2013」「上流階級~富久丸百貨店外商部~」、NHK大河ドラマ「真田丸」などがある。公開待機作は「殿、利息でござる!」「クリーピー」など。
スタイリスト:宇都宮いく子
ヘアメイク:ケラ ミキ
橋本愛
1996年1月12日生まれ、熊本県出身。2009年、「Give and Go」で映画デュー。主な出演作に、映画「告白」「アバター」「貞子3D」「アナザー Another」「桐島、部活やめるってよ」「さよならドビュッシー」「大人ドロップ」「リトル・フォレスト」「寄生獣」「ワンダフルワールドエンド」、TVドラマ「理由」「はつ恋」、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」、「ハードナッツ!~数学girlの恋する事件簿~」「青山ワンセグ開発/ねんりき! 北石器山高校超能力研究部」「若者たち2014」などがある。公開待機作は「シェル・コレクター」など。
ヘアメイク:晋一朗(cuzco)
スタイリスト:森上摂子(白山春久事務所)

――「残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―」(以下「残穢」)は、誰にでも起こり得ることを描いていて、ジワジワと迫りくる恐怖を感じました。観終わった後も、ずっと怖かったです! この映画が、ほかの作品と比べて特にすごいのは、どこだと思いますか?

竹内「観終わって、家に帰って一人になった瞬間に、もっと怖くなる作品だなと。だから、観たら後悔する……とは言っちゃダメですよ(笑)。本当に音も素晴らしいから、怖くて目を閉じてしまっても、『あぁ、これ絶対に何かがそこにいる。何か怖いことが起きてる~』って感触が残るんです。この映画を観た後は、自宅のカーテンの隙間や物音が気になってしまって。観終わった後でまた怖くなるというのが、『残穢』のすごいところだと思います」

橋本「決定的な瞬間をなかなか映さないというか、なかなか頂点にまで行かず、ジワジワと焦らされる恐怖が、この映画のすごいところだと思いました。『いつ来るの!?』という恐怖。それで散々焦らされた後に、ついに頂点に来た時のインパクトがすごくて、ドドドーッていうリズム感は独特だなと思います」

竹内「いわゆる怒涛のラストというシーンですね。最後なんて、ほとんど目をつぶってましたよ、私(笑)」

――私も怖がりなので、手で顔を覆って、指の隙間から観ました(笑)。本当に怖い作品ですが、演じるのはいかがでしたか?

竹内「ホラーは、私はまだ確か2作目じゃないかな。1作目は『リング』で、一番初めの貞子の被害者で女子高生だったな」

――あっ、お二人は『リング』つながりなんですね!

竹内「そうだったの!? 怖い映画は、なかなか観られないからなぁ」

橋本「私がやった貞子の映画(『貞子3D』)は、あまり怖くないから大丈夫ですよ(笑)」

竹内「とか言って、真に受けたら泣きを見るってやつね(笑)」

――ホラー作品でのお芝居は、ほかの作品とは違いますか? 「残穢」ではいかがでしたか?

竹内「今回の“私”役は、中村監督から『もう聞こえないんじゃないかってくらい、声を低くしてください』という指示がありました。これまでの作品では、感情を大きく出すお芝居が多かったのですが、今回はリアクションにしても、とにかく淡々と眺めているような人で。傍観者のような役ですね。作品の前半は特に、感情の起伏を抑えるようにと。心霊的な物事に対しては全く動じないというか。信じていないから共感も薄いのでしょうね。私にとっては珍しいタイプの役柄だったと思います」

橋本「久保さん役は、恐怖心と好奇心のバランスを意識しながら演じる役柄でした。普通の人なら、何かが出る部屋だったら、すぐに引っ越すんでしょうけれど、久保さんはとことん調べて、どんどん突き進んでいくキャラクターなので、変わっているなと思いましたが、恐怖心を抑えつつ、『身近でこんなことが起こってラッキー!』というくらいの気持ちで、その時々の状況に合わせて、バランスを調整して演じました」

――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか? 怖い出来事などは?

竹内「倉庫をお借りしてセットが作られていたのですが、気味が悪い感じはありましたね。節電のために、必要最小限の電気しか使わず、お手洗いに行くまでの階段が真っ暗なんですよ。使っていない時は電気を消しましょうという指示が書かれていたので、自分がお手洗いにいる時に、気付かれずに電気を消されたら怖いなと思って、わざと咳払いをするとか、人の気配を過剰に出してました(笑)」

橋本「スタッフさんから聞いたんですが、2カ所あるお手洗いのうち、一つはドアが閉まっていて、中からカランカランって音がしたそうで。誰かいるのかと思って待っていても、ずっと誰も出てこない。しばらくして、また見に行ったら、誰もいなかったという……」

竹内「あったんだ、そんな話! さすが、持ってるね~」

橋本「ほかにも、監督が女の人の声を聞いたとかいう話をしてましたよ」

竹内「そうだった。録音スタジオか、どこかで作業している時に、その場にいた全員が聞いたらしいね」

――やっぱりホラー映画の現場は、何か起きるのですね……。すごく怖くなってきたので、少し話題を変えまして。「残穢」は、“私”と久保さんが協力して謎を解明しようとする、女性同士のバディものとしても楽しめると思います。そういったシーンを演じてみて、いかがだったでしょうか?

竹内「新鮮でした! すごく頼もしい相棒でしたし。愛ちゃんは、私が苦手な怖いものが大丈夫だから、私が見られない時はしっかり見て、ちゃんと説明してくれました。だから、愛ちゃんが弱点を見せてくれたら、私がそこを補おうと思っていたんだけど、この人ほんとに死角がないんですよ(笑)」

橋本「たくさんありますよ~。家事とかできないし(笑)」

竹内「そこ問題視するの!?」

――すごく良いコンビネーションがスクリーンからも伝わってきました! 橋本さんは、バディものを演じていかがでしたか?

橋本「“私”は久保さんが尊敬している作家さんなんですが、彼女に初めてお会いするというシーンを撮影するまで、竹内さんとあえてあまり会わないようにというスケジュールが組まれていたんですね。それでお会いした時に、『あっ、本物だ!』というお芝居を自然にできるように配慮してくださったんだと思います。二人はお互いにプライベートを知らないけれど、協力しながら調査に乗り出すという不思議な関係になっていくんですが、竹内さんとご一緒に、劇中描かれていない二人の関係性を埋めていく作業が面白かったです」

――ありがとうございます。では最後に、私のような怖がりでも「残穢」を映画館に観に行きたくなるような、お薦めコメントをお願いします!

橋本「私は、この物語は、すごくかわいそうな悲劇だと思うんです。とても理不尽ですし、哀れな人たちのお話なんですね。なぜ見えない恐怖に、ここまで導かれなきゃいけないんだろうというのが悲しいんですが、結局原因は人にあるんですよね。人の狂気だったり、“さが”といったものに触れられる作品は、自分自身すごく好きなので、そういったものに興味がある方は、きっと楽しめると思います」

竹内「怖がりの人は、いわゆるドキュメンタリーだと思って観てくだされば、大丈夫だと思います。本当に起きた出来事のように、リアルな映像とストーリーですから。って、これじゃあちっとも安心できるコメントにならないかな(笑)」

――私は怖がりですが、すごく楽しめました(笑)。

竹内「そうですよね! きっと楽しめますよ!」

撮影/小野さやか

この連載は、毎週土曜日に公開。下記の記事一覧ページに新しい記事がアップされますので、ぜひ、ブックマークして、お楽しみください!
記事一覧ページは⇒こちら