――お二人は同じ事務所の先輩・後輩の関係ですよね。これまでにも何度か共演されたと思いますが、「星ガ丘ワンダーランド」でご一緒されていかがでしたか?
佐々木「何度目の共演でしょうか?」
中村「はっきりした数は覚えてないけど、結構ちょこちょこ共演してるよね」
佐々木「私が、お芝居に対して後ろ向きだった時期があったのですが、その時に倫也さんとご一緒したんですね。その後、この仕事を頑張りたいと思うようになって、今回またご一緒したら、もうすごすぎて……」
中村「すごすぎるって、なんだよ(笑)」
佐々木「お芝居がですよ~。倫也さんはすごすぎるから、私『共演なんてできない。どうしよう』って、プレッシャーでした(笑)」
――以前に共演された時と今回とでは、印象が変わりましたか?
佐々木「(中村の方を向いて)変わったでしょ?」
中村「うん、変わったね。佐々木は、女優の仕事が自分に向いているかどうか悩んでいたので、何がきっかけかは分からないですけど、今回久しぶりに現場で会ったら、すごく難しい役を一生懸命やっていて、頼れる仲間になっていると感じました」
――本作では、お二人とも複雑な感情表現の演技が必要な役でしたよね。どのように役に入っていかれたのでしょうか?
佐々木「倫也さんが演じた温人は、特に繊細な役でしたものね」
中村「佐々木の役(七海)も複雑だったしね。そうですね、温人の生い立ちと自分自身のとではずいぶんと違ったので、台本を読み込んで、自分の想像をふくらませて準備しました。現場に入ったら、佐々木やほかの共演者の方々が、日替わりで現れては去っていく撮影だったので、楽しみながら、役を作っていった感じですね」
佐々木「私が現場に入った初日は、病院のシーンだったのですが、倫也さんがすごく集中していたので、私も気持ちが引き締まりました。やっぱり先輩だなと思いましたね。七海役は、監督が細かいニュアンスを指示してくださって、あまり演技しすぎない感じで、現場で作り上げていきました」
――温人と七海は、お互いにとても気まずい関係というか、できることなら会わずに済む方が生きていきやすいのではと思ったのですが、お二人はどう思いましたか?
中村「温人は七海に対して、憎しみにも似たドロドロしたものを抱いていると感じました。それは一見、温人という温和な人物の雰囲気からは想像できないようなものなんですが、それが彼の中にあるのを感じて、温人は七海に会わなければダメだと思いました。七海と向き合うことによって、温人は成長するんじゃないかと思ったんです」
佐々木「七海の方は、温人に憎しみは感じていないと思いました。彼女は自分の思っていることを出せずに、自分を押し殺して生きてきた人なんじゃないでしょうか。温人に関しては、完成した映画を観て感じたのですが、彼が抱いていた心の中のモヤモヤがすごく切なかったです。七海も温人も、本当に複雑な感情のキャラクターですね」
中村「菅田(将暉)が演じた七海の弟も複雑な役だなぁ」
――菅田さんが演じた雄哉は、温人に対して憎しみをあらわにしていましたね。
佐々木「姉の七海にもガンガン気持ちをぶつけてきますしね。でも、七海は言い返したりせず、台所にいて控えめに洗い物をしているような人なんです」
中村「健気だよね。そんな七海の健気なところが、また温人には腹立たしかったりするんですよね。菅田も、大好きな後輩なんですが、がっつり芝居を一緒にやるのは初めてで、すごく楽しかったです。彼は芝居を土臭くするっていうのかな。思う存分やっているので」
佐々木「私も菅田君とお芝居を一緒にやったのは初めてだったのですが、すごいなって思いました。泣き叫ぶシーンも、泣き方も印象的で、その泣き方にグッときちゃうんです。溢れ出てくる感じと言ったらいいのかな」
――市原隼人さんとの共演はいかがでしたか?
中村「いっちーは……。あ、本人の前ではいっちーなんて呼んでないですけど、今日はいっちーと呼ばせてもらいます。以下、『いっちー=市原さん』で(笑)。いっちーは同い年なんですけど、自分と全く違うタイプの役者で、共演してすごく楽しかったです! 温人は、いっちーが演じる仁吾といると素直にケラケラと笑うんですね。だから、僕も自然と楽しい気持ちになる。仁吾役がいっちーで本当に良かったなと思います」
佐々木「温人と仁吾のシーンは長回しで撮ったんですよね。すごく楽しくて、素敵なシーンで、私は大好きです!」
――先ほど佐々木さんは、お芝居に対して後ろ向きだった時期があったとお話しされていましたが、また頑張りたいと思えるきっかけは何だったのでしょうか?
佐々木「そうですね、毎日毎日忙しく仕事をしていても、受け身だと感じてしまう時期があったんです。それで人生を見つめ直した時に、これではいけないなと思って、同世代の友達と語り合ったら、みんなしっかり頑張っていることが分かったんですね。私も逃げていたらダメだと思って、24歳の時に女優業と向き合う決意をして、お芝居の勉強に取り組みました」
――同世代の人が頑張っている姿が刺激になったのですね。お二人とも近年、たくさんの作品に出演されていますが、つらい時や、壁にぶち当たった時など、どのように気持ちを切り替えていますか?
佐々木「私は、悔しさがモチベーションになったりします。悔しい思いをすると、頑張るぞ、やってやるぞ、という気持ちになります。負けず嫌いなところがあるので、監督から何かご指摘をいただいた方がやる気が出ます。言っていただけると、すごくありがたくて、素直に頑張らなきゃと思います」
中村「今、思い返していたんですけど、この1年つらいことが一切なかったです」
佐々木「えぇーっ! 舞台でも?」
中村「そりゃあ、体力的にはつらいこともあるけど、そんなもんは大したことじゃない」
佐々木「うらやましい……。やっぱりキャリアなのかなぁ」
中村「(真顔で)頭のどっかにおかしいところがあるんじゃないかな」
――(爆笑)中村さんは、すごく前向きなのでしょうか!?
中村「前向きだと思います。後ろ向きなことは全く考えないですね。僕の思考回路に後ろ向きなものは一切ないんじゃないかと思うくらい。やっぱ病気かも」
佐々木「そんなことないでしょ!(笑)」
中村「こういうヤツは早死にする」
佐々木「いやいや、長生きしますよ」
――(笑いが止まらず)お二人の掛け合いがツボに入って……。ありがとうございます。それでは最後に、今後の目標を教えてください。
佐々木「私からいきますね! 『星ガ丘ワンダーランド』もそうですが、以前にご一緒したスタッフさんや共演者の方々に声を掛けていただき、またご一緒することの嬉しさはとても大きいので、今後も次につながるような仕事ができるように頑張っていきたいです」
中村「そうですね、まずは『星ガ丘ワンダーランド』をみなさんにちゃんとお届けして、その後はチャン・グンソクさんのようなセクシーな男を目指します」
佐々木「またそんな冗談を言って! 本気だと思われたらどうするんですか!?(笑)」
中村「俺、本気だから(笑)。中村・チャンとして頑張ります! 一日一日を楽しく生きて、皆さんに面白いと思ってもらえたらいいなぁと。今後もシンプルに生きていければいいと思っています」
文/清水久美子 写真/小野さやか
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