こんにちは。「女子による女子のための映画DVDガイド」の映画ライター・清水久美子です。

 仕事をして、自立した人生を送っているつもりでも、実家に帰るとつい親に甘えてしまう。何歳になっても、親の前ではいつまでも子どものまま。それが許されるなら、甘えるのも親孝行!?

 「子どもの世話を焼けるうちは、いろいろと面倒を見てやりたい」。そう思っている母親も少なくないのではないでしょうか。とは言っても、高齢の親に、いい年をして甘えすぎるのは考えものですが……。

 今回紹介する映画は、いつまでも母親を当てにしているダメ中年男の主人公を阿部寛さんが好演している、是枝裕和監督の最新作です。そんな息子を温かいまなざしで見守るお母さんを演じているのは、是枝作品の常連である樹木希林さん。

 是枝監督と樹木さんにインタビューし、楽しいお話を伺ってきましたので、作品紹介の後にお届けします!

「海よりもまだ深く」
【第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 正式出品作品】
2016年5月21日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他 全国ロードショー
(C) 2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:阿部寛 真木よう子 小林聡美 リリー・フランキー 池松壮亮 吉澤太陽/橋爪功 樹木希林
製作:フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ
配給:ギャガ

公式サイト:http://gaga.ne.jp/umiyorimo/

 15年前に文学賞を一度とったことがあるけれど、その後は鳴かず飛ばずの自称・作家の良多(阿部寛)。妻の響子(真木よう子)に愛想を尽かされて離婚した良多は、今は探偵事務所に勤めていますが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳しています。

 良多は月に一度、息子の真悟(吉澤太陽)に会えるのを楽しみにしていますが、ギャンブルに金をつぎ込んで、養育費も満足に払えず、響子をあきれさせます。そのくせ、彼女に恋人ができたことにショックを受けている良多は、響子と男が会っているのを張り込んで見張ったりする始末。

探偵事務所の同僚の町田(池松壮亮)を元妻の張り込みに付き合わせる良多

 さらに、良多は亡くなった父の遺品を売ろうとしたり、母の淑子(樹木希林)の貯金を当てにしたりして、姉の千奈津(小林聡美)もあきれさせます。

そんな千奈津も母親に甘えているのだが……

 ある日、良多は真悟を連れて実家に行きますが、台風で帰れなくなり、迎えに来た響子と3人で泊まっていくことに。久しぶりに元の家族で一晩過ごすことになった良多は、淑子の言葉に耳を傾けたり、台風の夜に自分の父親と遊んだように真悟と接したりしようとするのですが……。

響子の今後も気になっている良多

 苦労させられてきた夫が急逝した後、団地で気楽な独り暮らしを送っている淑子役の樹木さん。千奈津の子どもたちの習い事の月謝を援助したり、良多が離婚した後も、真悟だけでなく、元嫁の響子にもとても優しくする淑子をごく自然に演じている樹木さんに、自分の母の姿を重ねながら本作を観ました。

 撮影が行われたのは、是枝監督がかつて暮らしていた団地だそうで、監督は“なりたいものになれなかった”登場人物たちの切なさと重ね合わせながら、郷愁と共に思い入れのある団地を映し出したそうです。

 そんな樹木さんと是枝監督の息の合ったインタビューを、ぜひお楽しみください!