ホワイトハウスで最も地位の高い女性に

 やがて、ヒラリー・クリントン氏との一騎打ちになった選挙終盤になって本部長を引き受けます。女性票のために、劣勢の州で票を獲得するために、「何をしたらいいか」を耳打ちし、見事にトランプを当選させました。

 トランプ氏の選挙当選後、コンウェイ氏は家族と共に、彼女の仕事場となるホワイトハウスのあるワシントンDCに引っ越しをし、その数日後には「大統領顧問」に指名されました。その職務は、政策、倫理、法案、財務上の開示など多岐にわたって大統領に助言を行うもの。トランプ氏に関しては、得に“倫理”の問題は大切。ニューヨークタイムズ紙によると、「コンウェイはホワイトハウスで最も地位の高い女性」となるそうです。

コンウェイ氏は、ホワイトハウス内で最も地位の高い女性になる (C) PIXTA
コンウェイ氏は、ホワイトハウス内で最も地位の高い女性になる (C) PIXTA

 そして大統領選で勝利してから64日後という、“異例の遅さ”で記者会見を開いたトランプ氏。その会見は、自分に都合の悪い記者たちには質問をさせず、自分の言いたいことだけに終始しました。コンウェイ氏は、このトランプを援護して大統領の任務に力を貸していきます。

 ところがCNNによると、コンウェイ氏は移民や人種差別の政策についてはトランプ氏よりもしっかりした見識を持ち、1100万人を超す労働者たちに一部市民権を与えるほか、何らかの手立てを考える提案書も作成したとされています。彼女のこうした行動・考え方や「トランプのサイドに立つことでどう思われるか怖かった」という発言を思えば、仕事としての割り切りと、本来の人として視点は少し違うようだ……と信じたいもの。

 ともすれば人種や性差別的にも取れる発言や、対外的にも強気の態度で臨むトランプ氏。その政権を、背後で上手に動かし“耳元でささやく人”として見識のある一筋の光になってほしいものです。

文/上野陽子 写真/ロイター/アフロ、PIXTA

本文を一部修正しました(2017年1月20日)