精神的な結婚適齢期は45歳から?
日本産科婦人科学会では、35歳以上の初産婦を「高齢出産」と定義し、年齢が高いほど流産や早産や分娩時の危険性が増すとしています。例えば染色体異常の子供を出産する確率も、30歳の母体では約1000分の1のところ、40歳になると約100分の1にまでなるのだそうです。あくまでも一人が1000人・100人産んだら、という仮定が分母という低確率にすぎず、医療技術も上がった今では40歳を過ぎて出産をしても問題がないことがほとんど。そして日本での自然出産の最高齢は定かではありませんが、46歳くらいまでが多く聞かれるようです。
それでも、ホルモンバランスや女性が生まれ持った卵子の加齢などから導き出した、産婦人科学会による妊娠適齢は25歳から35歳。40代になると徐々に妊娠が難しくなると報告されています。結婚をして子供を作るという観点からは、このあたりが適齢期ということになりそうです
ところが、こんなデータ分析も見られます。
ユタ大学の「28歳~32歳が結婚適齢期」に異論を唱えたのが、メリーランド大学の社会学者フィリップ・コーエン氏。こちらではアメリカン・コミュニティ・サーベイ(American Community Survey、人口や世帯、住居等に関する情報を適時に把握するための調査)のデータを分析し、「離婚が最も少なく結婚に最適な年齢は45歳~49歳である」としています。
互いの生活もかたまり、落ち着いてパートナーを見られる年齢になり、些細なことで目くじらをたてない心のゆとりも考えられるでしょう。精神面から見たら「45歳からの結婚適齢期説」だって一理あります。
さらにコーエン氏は「離婚はデータ分析が難しい社会行動の一つ」とも指摘しています。もちろん、日本とアメリカなど文化の違いもあるでしょうし、同じ日本の中でも環境で大きく異なるもの。特に都心部と地方では、結婚の年齢にも、離婚理由にも大きな違いがみられます。
そう考えれば、どんなデータがあろうとも、結婚の適齢期はあくまでも「自分の生活の中で希望にそぐうとき」のこと。一人ひとりの環境によるもので、高齢になってからの結婚も、独りで楽しく過ごすのも、それぞれメリットはありそうです。
まずは自分の気持ちと相手を見極めることに注力して、さまざまなデータ分析結果の次の「結婚適齢期」は何と出るか……楽しみに待つことに。
結婚適齢期
The perfect age to get married
perfectをright age やbest ageと変えてWhat is the best age to get married? 「結婚適齢期はいつ?」のような使い方もできます。結婚可能な年齢はmarriageable ageという言い方が一般的です。
TIME, LIVING MRRIAGE, Math Says This Is the Perfect Age to Get Married
小倉千加子『結婚の条件』朝日新聞社2007
日本産婦人科学会編著、『女と男のディクショナリー HUMAN+』