首相夫人は、公人か私人か?

 日本の首相夫人たちも同様に、首相の公的活動への同伴や名代として登場しますが、官邸とは別に公邸があり居住の選択は自由。公式に専門のスタッフを抱えるわけでもありません。

 歴代の夫人を見ていくと、例えば鳩山由紀夫元首相の幸夫人は元タカラジェンヌらしい華やかないでたちや振る舞いで、人目を引く存在でした。そして安倍昭恵夫人もまた、「家庭内野党」と公言して政策にも意見したり、居酒屋を経営したりと、同様に奔放な行動の存在といえそうです。

 古風に一歩下がり、後援会などをしっかり仕切ったとされるのが橋本龍太郎元首相の久美子夫人。そして、三木武夫元首相の睦子夫人は、改憲に反対する「九条の会」を立ち上げ、近年もテレビのインタビューなどで見かけるなど、自らが政治家のように雄弁でした。

 夫人たちの気質も活動もさまざまながら、皆さん常に「首相夫人」であることに変わりありません。もちろん外遊など公的な活動のときは公費のため公人と言えるでしょう。でも、例えば外遊時と同じように日本で幼稚園訪問をしても、こちらは私人の場合もあるわけです。

 法律上の明言がないので、場面ごとに判断するしかないのがややこしいところ。ただ、プライベートでも「首相夫人」の肩書で活動することが多いのも実情で、この肩書で登場したときには、法的な拘束力はなくても実質の公人といえるのではないでしょうか。

 では、ほかの国でのファーストレディたちは、どんなふうでしょう。モデル並みの美人も多い中、ちょっと面白いのがフランスです。