トランプの「異質物排除」の発想のもと

 単一民族という思い込みが根強い日本では、日本人が民族や肌の色で特別な扱いを受ける経験はほとんどありません。でも、旅行でも一歩海外に出ると、日常的な出来事になり得ます。

 私が海外の学校に自転車で通う途中、トラックを運転する男性が「ジャーップ」と大声で怒鳴り、缶を投げつけてきたことがあります。私自身が何かをしたわけではなく、あまりに理不尽。私は何もできないままに、トラックは走り去っていきました。

 こうした意識の背景には、貿易のトラブル、戦争時代からの怨恨、民族や宗教の違いの他、長い時間で積み重なってきた、さまざまな理由があります。私が缶を投げられた街では自動車の貿易摩擦で反日感情があり、その時期には反日デモもありました。

 これを立場を変えて差別する側の視点で見てみると……例えば国によっては移民の犯罪率が高く治安が乱れたり、地元住民の仕事がなくなったりと、外国人が入ってきたがために不都合があるのも事実。もちろん、闇雲に差別していることもありますが、自分たちの暮らしを守るために、といった考えから派生している場合もあります。

 ここからトランプ大統領のような「外国人や異質な人種を排除しよう」「そのために壁を造ろう」という発想につながっていくわけです。むやみに差別されたというだけでなく、そこにある背景を知ることが、互いの理解につながりそうです。

 では、海外で理不尽な出来事に出くわしたとき、どのように対処したらいいか、具体的に見てみましょう。