こんにちは、著述・翻訳家の上野陽子です。ロンドンの大手会計事務所の受付係として、下請け会社に採用された女性がフラットシューズで出社すると、ハイヒールを履いていないことを理由に帰宅を命じられた、とBBCニュースで報道されました。信じがたいこの一件について、検証してみました。

(C) PIXTA
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 ロンドンの大手会計事務所の受付係として、下請け会社に採用された女性がフラットシューズで出社すると、ハイヒールを履いていないことを理由に帰宅を命じられた、とBBCニュースで報道されました。女性は会社から「高さ5センチから10センチのハイヒールを履くように」と指示されたのを断りました。さらに、「男性の同僚たちは同じように指示されていない」と不満をあらわにしたところ、日給なしで帰宅を命じられたとされます。

 女性のシフトは9時間で、主な仕事は依頼人を会議室に案内すること。「それをハイヒールでやるのは無理です」と伝え、男性でも同じようにヒールを履いて9時間シフトを務めるよう言われるのかと尋ねたところ、一笑に伏されてしまいます。

 これを受けてこの女性が、「企業が女性にハイヒールを強要することを法律で禁止しよう」と政府への陳情を呼びかけたところ……12万人を上回る署名が集まったそうです。誰もが潜在的に不満に思っていたことを表に出す機会になったという面では、最近日本で話題になった保育園待機児童問題のときと同じ。「それは、私だ!」の意識を持つ人たちが多く集まったといえそうです。

 そもそも、なぜ女性はハイヒールを履く必要があるのでしょう。