ハイヒールは男性らしさの象徴だった

 東京都立皮革技術センターの記事によると、ヒールの出現は16世紀末西アジア。騎馬民族が、鞍から靴が滑らないようにかかとに付けたくさび形の革にはじまったとされています。18世紀になると、足元に高さをもとめるファッションが流行し、身長163センチだったルイ14世が赤いヒールを履きはじめました。そこから貴族など身分が高い者だけが赤いヒールを許され、「足元を見れば身分が分かる」とされたそうです。

 この歩きにくいヒールは、もちろんヨーロッパの古い石畳やレンガ道では役に立ちません。むしろ外で労働をせず、長い距離も歩かない人たちが地位を誇示するための道具だったのです。王をはじめ男性が男らしさを誇示しましたが、一般庶民にも広がるにつれて、貴族はますますそのヒールを高くしていったとか。

 そもそもは、ちっとも女性の象徴でもなければ、働く場面用に作られたものでもなかったハイヒール。それは馬に乗るためであったり、ほとんど歩かない人々が身分を誇示するためのものだったりしたわけです。

 ところが女性が男性に憧れた時代にこぞってヒールを履き始め、逆に男性は安定感を求めて低めのヒールを好むようになります。やがて、スカートの丈が短くなり、足元が目立つようになるにしたがい、女性の象徴のように言われるようになったわけです。

 そして、ハイヒールは女性をより魅力的に見せる効果が科学的に実証されるようになりました。