こんにちは、著述・翻訳家の上野陽子です。国民投票でEU(ヨーロッパ連合)からの離脱を決めたイギリスで、キャメロン首相が退任。代わって、キャメロン政権の内相を務めたテリーザ・メイ氏が新しい首相に就任しました。イギリスではマーガレット・サッチャー以来26年ぶりに、女性首相の誕生です。メイの人物像に迫ってみました。

EU離脱の申し子は「冷たい女」?「おしゃれ番長」?

イギリスのメイ新首相ってどんな人物? (c)PIXTA

 メイ新首相は、保守党初の女性幹事長に就任するなど、党内の要職を歴任してきました。2010年からはキャメロン政権で6年にわたって内相を務め、ウォールストリートジャーナルで「派手さはないが実力派」と評されるなど、テロ対策や移民問題などに取り組んできた女性です。

 スピーチでは歯切れがよくきっぱりとした物言い。周りの評価は「静かながら芯の強さと交渉能力を兼ね備える」とされ、長い間ずっと首相候補とされてきました。メイ氏と各国内相のやりとりを目にした外交官らは「極めてタフで単刀直入」と評価しています。

 誰の評価にも「女性だから」といった視線は一切感じられません。ただ一つ、足元のファッションは常に気を配り、そのセンスが話題になっていることだけが「女性」としての話題でしょう。そして「頭がよくて鋭く強い」との定評がありながらも、同僚などからは「愛される人」との証言も聞かれます。周りの良好な評判から察するに、私たちの会社で側にいても嫌な上司タイプではなさそうです。

 その一方で、自分の考えをあまり表に出さず、政治家同士であまりベタベタしないがゆえに「冷たい」とも言われます。でも、癒着がないからこそキレのいい発言ができるとも言えるでしょう。こうして「メイは、魔法を使ってサッチャーの魂を抜き出して作ったかのようだ」と報道されるなど、まるで「鉄の女マーガレット・サッチャーの再来」と騒がれているのです。

 では、そもそもサッチャーは、なぜ「鉄の女」と呼ばれたのでしょう。そして「鉄の女」や「サッチャーの再来」は、悪いニュアンスなのでしょうか?