世界のこぼれ話やびっくりニュース、先進事例を翻訳家の上野陽子さんが解説します。 今回は、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー Part 2」で描かれた2015年の様子がどれだけ現実のものになったのかを振り返ります。

 子供の頃に想像した未来……それは、どんな風でしたか?

 昔見た映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー Part 2」は、1985年に生きる主人公が2015年10月21日にタイムトラベルして、自分の息子が起こすトラブルを未然に防ぐ話でした。その思い描いた未来だった2015年10月は、果たしてどこまで想像に近づけたのでしょう――。

「未来だった2015年」に起こっていること

 映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー Part 2」に登場したのは、近未来的なハイテクとアナログ感が混在した世界でした。主人公のマーティはスケボーで空中を走り、靴ひもは自動的に閉まり、雑誌のような薄さのタブレットに、メガネのようなコミュニケーションツールまで登場……。当時では“ありえない世界のおもしろいデキゴト”だったため、夢の話としてワクワクしたものです。

 ところが、公開から26年がたった今に考えてみれば……薄型タブレットは日常的に使われ、ウェアラブル(装着型)コミュニケーションツールは、映画よりもむしろ現実のほうが小型化されているほど。私たちの未来だった世界は、思った以上に実現されていると感じられます。

 そして今年の10月21日。マーティが履いていた自動靴ひも締めスニーカーが実現した「Nike Mag」が、映画の主人公を演じたマイケル・J・フォックスのもとに届けられました。

 このスニーカーは、30年前の映画の企画段階から「2015年の未来にふさわしいスニーカーをコラボしたい」との打診があり、ナイキがデザインしたもの。“フィクション”として考えたスニーカーを、今度は“日常”に変えたのです。2015年版は限定数をオークションで販売し(*)、2016年春には一般発売に乗り出すとのこと。あの頃に思い描いただけの未来が、本当に自分のもとに届くわけです。

* 2015版Nike Magはオークションでのみ販売され、売り上げはすべてマイケル・J・フォックス・パーキンソン病研究基金に寄付されます。

 さらに、トヨタ自動車「レクサス」が空中に浮く「ホバーボード」を開発し、10月22日オーストリアの運輸・技術革新省はホバーボードの利用に許可を出しました。

 “スケートボードが使用できる場所ならどこでも”利用できる“小型の路上外走行車”として扱われることになります。マイケル・J・フォックスが乗ったあのスケボーが、街中の空中を走る日ももうすぐかもしれません。

 さて、ほかにも映画にはたくさんのガジェットや技術、整形手術まで登場しました。映画と今を比べてみて、どのくらい実現されたかをまとめて見て行きましょう!