俳優や監督、クレーマーにも会う!?

 俳優や監督に会う機会もできた。
 公演のプロモーションに、うちのサイトを活用してもらえるようになったのだ。

 新キャストの発表記者会見に呼ばれたら、それをただ記事にするのではなく、インターネットでウケるよう工夫する。
 記事の切り口や見出しをちょっと変わったものにしたり、スマホで簡単に見られる動画を入れたりするだけで、読者の反応がまったく違う。こうした工夫は、上司に教わったと言えるかもしれない。

 そんなふうにして、サイト立ち上げから数週間はあっという間にすぎていった。

 そして私は、例のツイッターアカウントの人と会うことになった。

 会社のカスタマーサポートにクレームを入れたと思われる人を、私はツイッターで見つけた。そして、初めはツイッターのダイレクトメッセージで、途中からは会社のメールで、やりとりを重ねた。
 その人は、確かにうちのサポートにクレームを入れた人だった。
 そして、驚くべきことに、とある有名な出版社の編集者だった。

 年齢は私とほぼ同じぐらいの女性で、2.5次元ミュージカルの大ファン。
 編集者としてはまだ駆け出しで、なかなか自分の企画をやらせてもらえなかった。
 ところが、運良く例の声優の“ファンブック”の企画を事務所が許可してくれて、出版社の上司も認めてくれた。
 それなのに、彼がミュージカルを降板して、事務所も辞めてしまった。
 目の前が真っ暗になり、気が動転して、仕事も手につかなくなっていたところ、私のインタビュー記事が世に出たのだ。

 「本当にごめんなさい。ついカッとなって……」