「どんな働き方をするか」を考える作業から始めよう

吉永:今回の転職を相談された時、僕は「是非転職してください」と言いました。彼女の人生にとって、絶対そっちの方がいいじゃないですか。給料が上がって、休みが増えて、やりたいことができるんだから。

――ただ、一般的に言えば、そもそもワークライフバランスにおいて、やりたいことと仕事を合致させるべきかという話もありますよね。

吉永:今はそもそも一つの答えしかないという時代ではないと思います。終身雇用の時代が終わり、最近では安倍首相が「柔軟な働き方を」と発言して副業を勧めたり、実際色々な人が同時に複数の仕事をして活躍しているので、それがベストのようにも見えてしまう。でも、絶対にそうした働き方が合う人合わない人がいるはずです。だから、みんなが本業の他に副業を持って、生活を安定させましょう、なんていうことにはならない。働き方の悩みを持っている人は、自分にはどんな働き方が向いているかを見極める作業からスタートしなければならないのだと思います。

柚月:自分でやれることは限られているという一方で、努力でそれを突破するという生き方もあると思います。憧れているけれど経験がない世界に飛び込むには、現実には年齢制限があったり仕事に集中できる時間や環境が必要だったり、ということも多いと思います。だったら、今できる仕事で一生懸命頑張ってみる方がいい。一方で、無理と思えることでも努力して越えていくという考え方もある。

吉永:僕は、人生に関して考えている時間がめちゃくちゃ長いんです。自分の人生どういうはずで、どんな風になりたくて、どうやったらどうなるんだろうと、ずっと考えている。そこまでいかなくても、みんな、どんな高校、大学に行こうとか、どんな会社に入ろうとか、考えますよね。いわゆる自己分析です。そういう作業を、今のご自身を振り返ってしてみたらいいのではないかと思います。
 好きな仕事を選び、今いる会社を離れるのもありだと思うし、現在の仕事が面白くなくても、それはそれとして割り切りつつ、自分の時間に趣味を思い切り楽しむという生き方もありでしょう。答えが、個人個人ですべて違うと思うんですよね。だから、「こうするといい」とは僕は言えなくて、何が自分に合っているかを見極めるには、自分で人生について考える時間を増やすしかない。みんな、日々の仕事に精一杯で、土日は疲れて寝ちゃったりして、意外に考えていないでしょう? でも、忙しければ忙しいほど、その時間はちゃんと取った方がいい。その方が自分の今後の人生において得です。