緊急事態…会社の反応は?

 会社の反応は意外なものでした。

 インターネットで活動しているのなら、それを活かせるであろう、インターネットのメディアを持っている関連会社に移ってみないか、と言われたのです。自分の勤めている会社は、自分が思うよりも懐の深いところなのだな、と感心しました。

著書がテレビに出ることで会社にバレたときの吉永さん
著書がテレビに出ることで会社にバレたときの吉永さん

 それからです。会社の中で自分が活動する場所を作ろうと本気になったのは。

 それまでは、自分の夢と会社とは何の関係もないと思っていました。でも、ウェブメディアの部署に異動すれば、会社での仕事が自分の夢の実現にもつながる。そして、実績を出し続ければ、社内での活動場所を守っていける。そう考えるようになったのです。

 自分の夢のためにも、会社での仕事を全力でがんばる。

 どんな仕事をしていている人でも、目の前の仕事をがんばることで、工夫次第では自分の夢の実現に近づけるのでは?そう確信するようになりました。

 例えば、コーヒーショップで働いている人がいつか自分の本を出したいと夢見ていたとします。普通に毎日コーヒーを入れていても、出版のチャンスは決して訪れませんが、例えばコーヒーの上にかわいい絵を描くラテアートを極めたらどうでしょう? 

 次第に口コミになり、出版のチャンスに一歩近づくかもしれません。

 さらに工夫して、そのラテアートをツイッターに投稿してみたらどうでしょう? 実際、上手すぎるラテアートがツイッターで毎日爆発的に拡散し、テレビや雑誌に出演することになり、その結果、本の出版を実現したラテアート作家さんもいるのです。

 また、書店で働いている人が、世界を股にかけたベンチャーを創業したいとします。

 そのためには、海外から輸入された洋書や、翻訳書を山ほど読む。睡眠時間を削ってでも読み、誰よりも詳しくなれば、お店でも洋書や翻訳書の仕入れを担当させてもらえるようになるかもしれません。

 海外の著名な経営者で本を書いている人は多いですから、そういった人たちにツイッターなどのSNSで話しかけてコネクションを作ることもできるのではないでしょうか。彼らにしてみれば、「日本で自分の本を売ってくれている人」に親近感を覚えないはずはありません。

 こうしたコネクションは、やがて自分が創業するときの土台となるでしょう。

 どちらの例も、目の前の仕事を過剰に頑張ったことで夢に近づいているのです。大切なのは、まずゴールとなる夢を定めることです。