ヤグチの新たなストレスとは

 どうしてもやりたい企画があるのに、それがなかなか実現しないのだ。

 私は、自分の好きな声優、小田マモルくんに、インタビューしたい。
 その一心で、もう何週間も事務所に連絡しているのに、まったくOKが出ないのだ。
 うちのサイトの知名度がないからなのか。私に実績がないからなのか。それとも、私のミーハーな気持ちが見え見えなのか。

 「マニアックなコミュニティに書き込んでるのがバレてるんじゃないの?」
 友だちがLINEでそう送ってきた。
 「いや、事務所はそこまでチェックしていないでしょう」
 「ウェブメディアだから警戒されるとか? 彼ぐらいのクラスになると、テレビや有名な雑誌じゃないと出ないんじゃないの?」

 わかってる。わかってるけど、インタビューしたいのだ。
 そのために、こんなに膨大な仕事を自主的にこなしているのだぞ。

 「おや、ヤグチさんは今日も遅いですね」
 残業していると、ひょっこり上司が現れた。
 「こんな時間にどうしたんですか?」
 「ちょっと打ち合わせが長引いて」
 「家に帰らないんですか?」
 「まあ、徒歩1分のところに住んでるから大丈夫」
 いや、答えになっていないと思う……。

 私は自分の企画の悩みについて上司に話してみた。
 「ぜんぜんインタビューのアポがとれないんですよ」
 「うーん。どうしてだろうね」