「何のために働いているのかわからない」。そんな悩みを抱えているこじらせOLが、ふとしたきっかけから自分の「夢」に気づき、自分の生き方を大きく変えた――。そんなストーリーの小説『言い訳ばかりの私を変えた夢みたいな夢の話』を、本連載「才能がない人の夢のかなえ方」としてお送りしていきます。前回に引き続き、まだスランプのトンネルの中にいるヤグチですが……。

著者からのメッセージ:本連載の前書き「副業が会社バレ ピンチ、異動、そして夢が近づいた話」
第一回:お給料のためだけに働くOL、夢について考える
第二回:夢ナシ契約社員 異動先で「あなたの夢は?」と聞かれて
第三回:好きを仕事に…人に言えない趣味も仕事にできるのか?
第四回:恥ずかしい趣味を仕事に生かしてみた 上司の反応は?
第五回:地球上に○○する…壮大な上司の夢 部下の私はどうする
第六回:契約社員なのに、朝4時まで徹夜した仕事…その結果は
第七回:仕事量激増、新たなストレス、スランプ…どう抜け出す

【第八回】腕時計が転校してくる

 私のスランプは、ますます深刻になるばかりだ。
 「好きに書いていい」と言われて、好きに記事を書いていたうちはよかった。とことんマニアックに書いても、読んでくれる人がたくさんいて、うれしかった。
 でも、それではいつまでたっても、私と声優の距離は縮まらない。
 「舞台と客席の距離」のまんまだ。

 いや、そもそも私はOLで、ただのファンなのだから、距離が縮まるわけはない。
 でも、記事を30万もの人が読んでくれたので、なんだか私が、応援されているような気がしていたのだ。
 あこがれの人に会えるよう、たくさんの人が「がんばれ!」と言ってくれている、と錯覚してしまったのだ。
 我ながら、キモい。キモすぎる……。