落ちこんでいるときに元気がもらえたり、新しい視点が得られたり……ときには、人生が変わるほどの大きな力を持つ「本」。数多くの「人の心を動かす言葉」を生み出してきた博報堂クリエイティブプロデューサー・ひきたよしあきさんによる連載「あなたを変える、魔法の本棚」では、読むたびに自分の個性や知性が磨かれ、人生が前向きに変わっていくことを実感できる“特別な1冊”を厳選して紹介していきます。

◆今回のことば

「もう一度、日本を洗濯する」

――「竜馬がゆく」より

「竜馬がゆく」(司馬遼太郎 著 文藝春秋)

 この理不尽で、不可解で、非効率で意味不明な「男性社会」は一体どんな精神構造でできているのでしょうか。それを解く鍵が、司馬遼太郎さんの書いた一連の歴史小説の中に隠されています。

 中でも「竜馬がゆく」は、その最高峰。高知の脱藩浪士・坂本龍馬が、幕末の日本を駆け巡り、ついには300年続いた徳川幕府をひっくり返してしまう物語。非常に長い小説なのですが、日本男児の多くが熱に浮かされたように読んでいます。不思議な魔力がここにはあります。

 まず竜馬は、モテます。徹底的にモテます。高知でも江戸でも京都でも、行く先々で「竜馬さんのためなら死んでもいい」という女性が出現します。