言葉の感性を磨いて、新しい自分に生まれ変わる

 また吉元さんは「せつない」とか「やるせない」などの少し奥行きのある言葉をどう説明するか、どんな情景描写をするかを考えることを勧めています。

 例文に上がっていた「せつない」の情景は、「若い従業員に、荒い言葉で年配の従業員が注意されている光景」でした。思い浮かべると、確かにせつないですね。辞書で引いてもわからない「せつない」の本質が見えてきました。

 一気に一冊読み終えて、「私もハッピーノートを作ろう」「自由連想法をやってみよう!」と新しい大学ノートにペンを走らせてみました。そこで、はたと気づくのです。これは生やさしいものではない、ということに。

 ノウハウを聞いたからといって、すぐにできるようなものではありません。コツもノウハウも、すべて吉元さんが30年の歳月をかけて磨き上げてきたものばかりです。少しくらい公開したって、吉元由美さんを脅かす存在になどなれっこない。そんな自信がみなぎっているように私には思えました。

 そうであっても、言葉の感性を磨くために大切なことがいっぱい詰まったこの本は、最近空を見上げる余裕のない方にぜひお薦めします。代わり映えのしない一日を、色鮮やかな物語に変える力を秘めています。読む前と後では、間違いなくあなたが変わる一冊です。

文/ひきたよしあき

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