落ちこんでいるときに元気がもらえたり、新しい視点が得られたり‥‥‥ときには、人生が変わるほどの大きな力を持つ「本」。広告代理店のクリエイティブプロデューサーとして数多くの「人の心を動かす言葉」を生み出してきたひきたよしあきさんによる『あなたを変える「魔法の本棚」』連載では、読むたびに自分の個性や知性が磨かれ、人生が前向きに変わっていくことを実感できる“特別な1冊”を厳選して紹介していきます。

◆今回のことば

「言葉は、相手の取りたいように取られてしまうもの」

――言葉って不思議だと思いませんか?より

「言葉って不思議だと思いませんか?」(晴香 葉子 彩雲出版)

 “言葉の意味と本心は、別のところにある”

 多くのみなさんが、これを実感していることでしょう。

 例えば上司が、「分かった、分かった」と言います。

 これを「十分理解した。了解し、あなたの意見を認めた」なんて言葉通りにとったら大間違い。上司はただあなたの話を早く切り上げたいばかりに「分かった」と言っています。分かったどころか、基本的な意見が合わないので「これ以上話を聞きたくない!」という意思表示として「分かった」を使うことがあるのです。

 これを言葉通りに受け取って「上司も納得した」「上の了解もとっている」と思って行動した結果、思わぬ恨みや反発を買うことがあります。

 言葉って、ほんとに不思議ですね。

 作者の春香葉子さんは、心理学者の立場から日本語のもつ「本質的な不確実性」について語っています。

 もうひとつ例をあげましょう。

 「私、傷つきました」という言葉。このときの「傷つく」は、プライドや心に外傷を与えられたという意味ばかりではありません。

 「言われたくないことを言われたとき、そして言い返せなかったとき」にこの言葉がよく使われると春香さんは解説します。「傷つく人」というのは、指摘されることに敏感で、そこから逃げようとする傾向があります。この心理を知って人の話を聞くと、また違った風景が見えてくるものです。

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