女性役員を目指すには交渉力の強化が重要

 3人目の講演者は、アクセンチュア 執行役員の堀江章子さんだ。

 アクセンチュアが30カ国以上を対象に行った調査によると、2020年までに経営会議メンバーの女性比率が増えるか、という質問に対して、増えるという回答が日本では37%。女性のCEOが増えるか、という問いの回答は、さらに下がって31%であった。この数字はいずれも、世界各国と比べて断トツに低いという。「アメリカでは80%の人が、CEOになる女性が増える、と答えている。カルビーの松本会長のような意識の人は日本では少ない」と堀江さんは話す。

アクセンチュア 執行役員の堀江章子さん「女性のリーダーに特に必要なのは交渉力です」

 女性役員の登場を阻害する要因には、女性が執行役員になることをサポートする雰囲気がないこと、経営者に女性を引き立てるマインドが足りないことを挙げ、女性側も、本当は能力があるのに、自信がなくてリーダーや管理者になりたがらない人も多いと指摘。意欲がある女性の場合も、それを実現する仕組みが会社や社会になく、どこから手をつけていいかわからない、という現状を伝えた。

 そこで堀江さんは、アクセンチュアで実行しているトレーニングプログラムを紹介。役員になる手前の段階の人材へのトレーニングでは、成功への道筋を作るための必要条件を提示する。「それは、スキルやエモーションだけではなく、エグゼクティブとしての振る舞い方、発言の仕方、リレーションの作り方、自分のキャリアのブランドをどう作るか等をトレーニングする」(堀江さん)。

 また、経営層者向けのトレーニングの中でも、特に交渉力は重要だと説明。「交渉の成否を左右するポイントは、相手の利益や興味をどう満足させるか、代替案を示せるか、コミットメントを示せるか、といったコミュニケーションが大切。交渉を通してリレーションシップを良好にし、ポジティブな効果を出すことを意識しながら行動しなくてはダメです」と堀江さん。

 女性は交渉事を対立ととらえてしまい、居心地悪く感じて、交渉自体を回避する傾向があるそうだ。仕事に就いている女性の20%が、自分は今まで交渉したことがないと思っているというデータもあるが、一方で、女性は自分のためではなく、誰かのために交渉することは大変得意だという。「交渉の回避は機会損失につながり、部下や顧客からリーダーとしての信用、信頼を失いかねないので、意識して交渉力を身に付けたい」と堀江さんは語った。