役員が持つべきスキル、立場によって変わるもの

 第二部のパネルディスカッションでは、グーグル専務執行役員岩村水樹さん、三菱UFJ信託銀行執行役員法人コンサルティング部長相幸子さん、サントリーウエルネス専務取締役折井雅子さん、アクセンチュア執行役員堀江章子さんがパネリストに、アクセンチュア通信・メディア・ハイテク本部マネジング・ディレクター小林珠恵さんが進行役を務め、役員に必要な条件、女性役員を取り巻く環境などを話し合った。

左から、アクセンチュア通信・メディア・ハイテク本部マネジング・ディレクター小林珠恵さん、グーグル専務執行役員岩村水樹さん、サントリーウエルネス専務取締役折井雅子さん、三菱UFJ信託銀行執行役員法人コンサルティング部長相幸子さん、アクセンチュア執行役員堀江章子さん

 グーグルの岩村さんは、「グーグルでは、テクノロジーで女性の活躍推進を目指すWomen Willという取り組みを行い、ワークスタイル改革をパートナー企業と実践している。日本にはテクノロジーのインフラはあるが、十分に活用されていないので、活用促進のためのカルチャーの変革に取り組んでいる」と話す。

 また、「役員になると一挙手一投足を見られるので、会社のコアの価値観、ビジョン、ミッションを体現することが重要。どれだけ信頼を勝ち得て影響力を行使できるかがポイント」という。

 サントリーの折井さんは、「生え抜きの女性が役員になることが想像できなかったので、時代も会社も変わることを驚きとともに実感した。会社を代表して社会と接するために、違う風景が開け、財産になった」と、得るものの大きさを語った。

 折井さんはさらに、重視していることを4つ挙げた。「1つは決断。2つ目は俯瞰すること。3つ目は“なるべく”逃げないこと。私はときどきプチ挫折を自分に許しつつ、大事な場面では頑張る。4つ目は新しもの好き。どんな変化も自分が成長できるチャンスととらえて仕事に取り組むこと」。

 三菱UFJ信託銀行の相さんは、管理職になった時点は非常に大変だったが、「『仕事が難しいときはらせん階段を上っているときと同じ。見ている風景は一緒だが、ちゃんと上に登っている』というアドバイスをもらって頑張れた」と当時を振り返った。役員としては、「交渉するときにはWin-Winの関係をどうやったら作れるか、知恵を絞って臨むことが重要。俊敏力も非常に大事。即断即決するために、普段からよく考えて準備しておくこと」と自らの心構えを披露した。

 アクセンチュアの堀江さんは、「執行役員になって、経営の中枢にかかわる情報をいち早く得られることに驚いた。またそれを知ったうえでお客様とやり取りする仲で、経営の一端を担っているのだという実感が湧いたし、お客様からの見られ方も変化したように思う」と自身の経験や変化について触れ、「今後、アクセンチュアからも女性執行役員や今後執行役員になっていく女性に、トレーニングの機会を提供することを検討している」と話した。

怖れずにチャンスをつかもう

 最後に、4人の女性役員が、会場の女性にメッセージを贈ってくれた。

 「あなたは、あなたの人生のCEO。自分で決められることにフォーカスしたほうが気持ちがいい。悩んだときには、あなたの思いをよく知っている人をボードメンバーと想定して相談しよう」(岩村さん)。

 「ポジションのような外的キャリアを狙う機会があったら、恐れずに求めてほしい。自分の世界が広がり、成長でき、やりがいなどの内的キャリアの充実にもつながる」(折井さん)。

 「仕事のミッションをやりとげると、信頼を勝ち得て次の仕事につながる。時間の制約がある中でのベストパフォーマンスを挙げるために知恵をしぼって」(相さん)。

 「制約を忘れてチャレンジできる環境に身をおいてほしい。よく寝て、よく食べて、元気な人は多少のことでは負けない。健康で元気でいてほしい」(堀江さん)。

 最後に、日経BP社執行役員の麓幸子が、「今、女性は大きなチャンスの中にいる。交渉して信頼を勝ち取り、意思決定層に進むことが重要。このカウンシルがみなさまのエンパワーメントになれば幸い」とまとめて、中身の濃いイベントの幕が下りた。

日経BP社執行役員の麓幸子
力強いメッセージをくれた講師とパネリストのみなさん

文/芦部洋子 写真/竹井俊晴