ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019受賞者

大賞 中村朱美(なかむら・あけみ)さん(34歳)

minitts 代表取締役

1日100食限定のステーキ丼専門店で、シングルマザーも
高齢者も働きやすい、「人生100年時代の働き方」を実現!

 人材不足で残業が多く、休みが取れない――そんな飲食業界の常識を覆す、新しいビジネスモデルを生みだしたのが中村朱美さんだ。国産牛を使ったステーキ丼専門店「佰食屋」ほか、すき焼き専門店、肉寿司専門店の3店舗を京都市で経営。「行列ができる店」として、テレビなどのメディアで取り上げられることも多い人気店だが、実はどの店も1日100食限定でランチ営業のみ。売り切れたら営業が終了するため、片付けや翌日の仕込みをしてもスタッフは全員、17時45分には店を出られ、残業は一切ないのが特徴。働く時間は家庭の事情などに合わせて1時間単位で選べるようにしており、シングルマザーや、要介護の親を抱えている人も、正社員として活躍している。

 そんな柔軟な働き方ができる飲食店をつくったのは、中村さん自身が「夕食は家族皆で食べたい」という強い思いを持っているから。前職は会社員で仕事は充実していたが、出張や残業が多く、結婚・出産後も長く働き続けられるか不安もあった中村さん。結婚を機に料理好きの夫を誘い、夫婦で飲食店をやろうと脱サラする。飲食業界の既存の概念にとらわれず、1日100食を売り切ったら営業を終えるというビジネスを思いつき、実現させた。現在は、2歳と4歳の子供を持つワーキングマザーとして仕事と家庭とを両立する。

 また、100食限定で毎日売り切る仕組みは、食品廃棄問題の解決にもつながる。仕入れる食材の量は常に一定。牛肉は必要な分だけを塊で仕入れ、丁寧にさばいて廃棄率を極力抑えるなど、食品廃棄を徹底的にカット。売り上げは4年連続で伸びており、17年度はついに1億2000万円を突破。中村さんは「今後はフランチャイズ化を通じて、こうした働き方を全国に広めていきたい」と考えている。