15秒の手間で、どいてもらう

 SMAPの場合、キムタクをあえて打ち上げに呼ばなかったのであれば、強い「仲間はずれ」のメッセージになると述べた。二度と結成されることのないほど信頼関係に亀裂の入ったグループであれば、それでいいだろう。

 しかし、会社の「一応くん」とはこれからも一緒に仕事をしていかなければならない。そのための最善の対策が、「事前・事後の共有」だ。

 対人関係で軋あつ轢れきを生む大きな要因が、「共有」の欠落だ。
 「それ、聞いてないよ」という状況が最もマズい。

 極めてカンタンなことだが、「一応くん」を呼ばない場合、「事前・事後の共有」をしておくことが大事である。それさえしておけば、「仲間はずれ」にされた感じは見事に消える。

 では、具体的にどうやって「事前・事後の共有」を行うのか。対策は次の通りだ。

 事前(会議前)共有――メールではなく、口頭でさりげなく共有
 事後(会議後)共有――口頭ではなく、議事録をさらりと配布

 事前(会議前)共有にメールはいただけない。ニュアンスが伝わりにくく、「仲間はずれ」感が強まってしまうからだ。すれ違いの立ち話でもいいので、「あ、あの件ですが、関係当事者だけで打ち合わせをしておきます。ご多忙かと思いますので結果だけ共有させていただきますね。何かありましたらご意見いただけますか」と口頭で伝えよう。

 試しにこのセリフを声に出して読んでみてほしい。
 言い終えるのに10秒とかからないだろう。

 しかし、この「10秒」があるのとないのとでは、大きな差が生まれる。
 必ず、口頭共有を心掛けたい。

 次に事後(会議後)共有。これは口頭ではなく、議事録をメールなどで送ればいい。口頭だと伝えもれがあるかもしれないし、議事録だと、「仲間はずれにされていない」感が当人に生まれる。

 議事録を送るメーリングリストに「一応くん」の名前を加えるだけなので、「5秒」
とかからない。

 事前共有で「10秒」、事後共有で「5秒」。合わせて「15秒」の手間で、会議に呼びたくない「一応くん」を除外できる。それもしこりを残さずに、だ。

 会議は時間が限られている。
 必要な人だけを集め、必要な議論を展開することを最優先させよう。
 そのことで、ああだこうだ言う人は、「15秒ケア」だけしておけば問題はない。

会議の人選 まとめると…
会議の人選 まとめると…

文/横田伊佐男 イラスト/和田ラヂヲ


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著者:横田伊佐男
イラスト:和田ラジヲ
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