30代は、「悪魔の代弁者(Devil’s Advocate)」を心掛けよ。

 「悪魔の代弁者」とはディベートテクニック用語で、批判的な立場で反対意見を述べる役割を指す。

 実際に、「悪魔」になり切る会議の場面を想定してみよう。

 会議は時間の制約上、「これでいいよね」という同調傾向に陥りやすくなる。それによって会議は終了するが、安易な同調は、本質から離れた妥協案になりやすい。そればかりでなく、議長や参加者の重大な見落としにもつながる。なにより、会議のメリットである多様な視点が失われてしまう。反対意見、批判的意見を述べることは、会議を活性化させ、問題の本質を気付かせることにつながる。国会でいう「野党」の役割だ。

 経営層と現場の中間にいる30代だからこそ、その発言は影響が大きく的確なはずだ。ただ、大勢を向こうに回して、反対意見を訴えるのは、言うなれば1人野党だ。これは勇気がいる。

 反対意見は会議の空気を乱し、敵をつくる怖れも多分にはらんでいる。「反対でも黙っておこうよ」という、臆病な自分の声も聞こえてくる。いや、その声はごもっとも。

 なぜなら「悪魔の代弁者」「1人野党」は両刃の剣だからだ。反対意見を述べることで、多様性を歓迎する上司からは感謝される。一方で、シャンシャンで終わらせたい上司からは疎まれてしまう。

 さて、30代諸君。どうする。

 臆する自分の声に負けて「悪魔の代弁者」をやめて、ダンマリを決め込むのか。それとも、そんな声を振り切り、「悪魔の代弁者」として勇気を持って発言すべきか。筆者は、もちろん後者を勧める。勇気を持って、果敢に「悪魔の代弁者」になってほしい。

「いやいや、怖いス」。

 ……分かっている。では、1つアドバイスを送ろう。

 「白い悪魔」に変身すればいいのだ。

 30代には、「悪魔の代弁者」として、反対意見や批判発言を推奨した。だが、それは角が立つことも理解している。会議の空気が悪くなるのだ。ただし、それは「黒悪魔」の場合だ。「黒悪魔」とは次のようなものだ。

<黒悪魔>

・ネガティブな姿勢

・NOや批判だけで、代案を出さない

・発言に責任感がない

 では「白悪魔」はどうだろう。

<白悪魔>

・ポジティブな姿勢

・NOや批判の後に、代案を出す

・発言に責任感が伴う

 「黒悪魔」と「白悪魔」の共通点は、「NOや批判」を突き付けることだ。ただしそれ以外の要素は全く違う。白悪魔の場合、代案は出すし、発言に責任感がある。なにより、発言トーンがポジティブで建設的に聞こえる。

 では、どうやって「白悪魔」に変身するのか。