デザインやテクノロジーが仕事しやすさを実現

ユッカ・シウコサーリさん フィンランドは今年、独立100周年を迎えました(フィンランドは1917年ロシアより独立)。そして、マリメッコは50年以上もの間、フィンランドの歴史を飾ってきました。

駐日フィンランド大使のユッカ・シウコサーリさん
駐日フィンランド大使のユッカ・シウコサーリさん

 アルミ・ラティアがまだ会社のトップを務めていた70年代初め、私の母を含め、40歳以下のフィンランド人女性はほとんどがマリメッコのファッションを楽しんでいました。母はサマーハウスのインテリアをすべてマリメッコで覆ったほどです。マリメッコは変化のシンボルです。70年代のフィンランドは現在の我が国とは異なります。マリメッコが主な変化を起こしてきたわけではありませんが、変化の非常に強いシンボルであると思います。

 例えば、多くの男性がブリーフケースの代わりにマリメッコのバッグを持つようになり、男女が同じ柄を着るようになりました。ジェンダーの意味、男性女性という考え方がどんどん変わってきたのです。

 フィンランドはデザインとテクノロジーでよく知られた国です。

 フィンランド人にとって自然は非常に近い存在で、そのナチュラルな色や形は私たちにとって特別な魅力があります。そのため、自然は日常の品々のデザイン、建築、ファッションに反映されています。一方、フィンランドの男性は新しいものが大好きで、携帯をはじめ常に新しいテクノロジーを開発し、イノベーションに立ち向かっています。こうしたことが、フィンランドを有名たらしめているのだと思います。

アラフフタ=カスコさん テクノロジーやデザインは私たちの日常の一部ですね。よいデザインというのは、日常生活に宿るものでなければならないと思っています。作品のように賞賛するものではなく、日々使うことができ、機能的であることが大切なのです。

 そのため私たちは常に、機能的で時代を超える優れたデザインを生み出そうと努力しています。フィンランドにも季節があり、冬は室内で過ごすことが多くなります。そうした暗い冬にも家の中には「太陽」が欲しい。デザインはその役割を担い、エネルギーを生活環境に与えてくれるのです。

平野拓也さん 「テクノロジー」という言葉だけ聞くと無機的で冷たい感じがしますが、これはクリエーティビティーを引き出したり、新しい考え方を生み出したりする大切な存在です。

日本マイクロソフト社長の平野拓也さん(左)
日本マイクロソフト社長の平野拓也さん(左)

 大正時代に「サラリーマン」という言葉が生まれ、その頃は日本の人口の5パーセントぐらいがサラリーマンとして働いていました。昭和になり、島型に並べた机のある会社の大部屋で仕事をするという時代が長く続いて、その後テクノロジーが導入され、パソコンが入って、今ではテレビ会議などでいつでもどこでも仕事ができるようになりました。

 私の職場では、AIも働き方に関わってきます。例えば、毎週AIから私にレポートが来るのですが、「今週は田中さんと30パーセント仕事が一緒でしたね。そんなに一緒にいる必要があるんですか?」というような“気付き”を与えてくれる。気付きがあると、もっとクリエーティブであることに時間を使えるようになる。そうやって仕事の仕方が変わってきていると思います。