人間関係が崩れるのはエネルギーが低下しているから

 まず、「今の」職場でやっていけないなら、他の職場でもやっていけない、という言い分について考えてみましょう。

 確かに、人間関係のトラブルで行き詰まった結果、転職すると、次の職場でも、やはり人間関係が苦しくなって辞めてしまう人がいます。

 でも、それはその人の「コミュニケーションスキルが低い」のではなく、「エネルギーが低下している」状態を放置したまま、前に進んでしまったからなのです。

 ここで、「疲労のレベルと感情のメカニズム」についてグラフとともにおさらいしましょう。

 第1回「頑張り屋さんに必要な『ギブアップする力』の育て方」でもお伝えしたように、エネルギー量が1段階から2段階、3段階と低下していくにしたがい、感情や身体症状はどんどん変化していきます。

第3段階までエネルギーが落ちている状態を放置すると元の状態に戻るのに時間がかかります

 夜中に何度も目が覚めたり、だるさや食欲不振など体調がすっきりしない第1段階。

 さらに疲労レベルが進んだ第2段階が「プチうつ」状態です。いら立ったり、今までと同じ仕事なのに負担感が増します。しかし、このレベルであれば、気合いで頑張ればなんとかパフォーマンスを上げられる。特に、優秀で頑張り屋の人ほどここで「頑張り過ぎ」てしまいます。

 けれど、2段階と3段階のちょうど境目ぐらい(ピリピリゾーン)になると、
●仕事
●人間関係
に明らかにサインが表れます。

 仕事では、思い違いやうっかりミスが増える。人間関係では、非常に過敏に、防衛的になります。「自分だけが会議に呼ばれなかった」「誰も自分を評価してくれない」という気持ちが強まり、人と話すのが苦しくなります。このように人を批判する気持ちが高まるのと同時に、自分はダメだ、自分には寛容力がない、人としての器が小さい、などと自分を繰り返し責め始めるのも特徴です。

 さらに第3段階になると「別人モード」に。疲れ切ってしまい、周囲への警戒心が増します。例えば同僚が苦しそうなあなたを手伝おうとして「アイデア出し、できた? 手伝おうか?」と言ったとします。するとあなたは、せかされているように感じ、「私だけじゃ無理だと思っているんだ」と被害意識を膨らませるのです。

 第3段階になると、第1段階のときと全く同じトラブルが起こったときにも、ショックの度合いは3倍に、回復までに必要とする時間も3倍になります。これは、体が緊急警報を発しているということ。「これ以上無理をしたら死んでしまう。とにかくもう頑張り続けるのをやめて!」とブレーキをかけている状態なのです。

 あなたがつらい人間関係に遭遇し、あなたなりに頑張ってきたけれど、次第に消耗して第3段階にまで落ちているとしたら、もう小手先の努力ではなんともなりません。まず大切なのは「休むこと」なのですが、それがかなわない場合、大きく環境を変える、つまり、転職、退職、休職するという道を選ぶのは正しい選択となります。