SNSを見てモヤモヤ、他者から言われた言葉に必要以上に傷つく。仕事が予定通りに進まなくてイライラ――世の中も自分も「不寛容」だと感じていませんか。心理カウンセラーの下園壮太さんが、自分を追い込まずに寛容力を育てていくコツを教えてくれます。2回目は、身近な「いつも余裕があるように見える人」が羨ましい、妬ましいと感じたときの心の調整法をお伝えします。

エネルギーが低下していると「比べる気持ち」が強くなる

 もっと寛容になりたい、と思うとき、身近な人で「いつも余裕がある」「いつも幸せそうで、満たされているように見える」そんな人を羨ましく感じることがあります。

 素敵な人がまぶしい分だけ、振り返ったときの自分がくすんで、ダメに思える。この苦しみの背景には、ぜひ知っておきたい感情のメカニズムが隠れています。

「あの人いつも幸せそうなんだよね、いいなぁ」 (C) PIXTA

 「比べる気持ち」というのはとても本能的な感情です。それを理解していただくために、突然ですが人間がマンモスを狩っていた大昔にトリップしてみましょう。

 例えばあなたと何人かがグループを組んで、マンモス狩りをしたとします。最も危険なことはすべてあなたが担当し、無事マンモスをやっつけることができた。他の人たちはあなたの後をついてきただけ。あなたの活躍がなければ、みんなの命も危なかったとしましょう。

 このようなときに、自然に発動する感情のプログラムを「期待と比較のプログラム」と私は名付けています。頑張った自分は、報酬として大部分の肉をもらえるだろうという「期待」、そして受け取った肉の量を確認する「比較」をするのです。

 ここで、前回の記事頑張り屋さんに必要な「ギブアップする力」の育て方でお話ししたエネルギー量が問題になってきます。

エネルギー量が低下すると、感情や身体症状も変化していく

 疲労が第一段階の状態だと、エネルギーが十分にあります。受け取る肉の量が少なくても、「あれ? あのマンモス、肉が意外と少なめだったのかな、ま、いっか」と、さほど比較しなくてすむでしょう。しかし、疲労が第2段階以降になると、あなたのエネルギーはかなり少ない状態です。「えっ、なんでこんなに少ないの? あんなに貢献したのに自分の取り分がこれだけだなんて!」と、どんどん比べる気持ちが強くなります。

 しかし、ポイントは、この感情は本能的に、あなたの生命を守るという観点では、非常に正しい感情であるということ。命がけで戦ったのに取り分が少ないことをそのまま受け入れるような人は、マンモス狩りをしている原始時代では生き抜くことができなかったでしょう。だからこそ、このプログラムは現代にも生き残っているのです。

 「期待と比較のプログラム」は、私たちの命を守ろうとする必要な感情です。しかし、エネルギーが低下し、エネルギーの拠出に敏感になっているときには、どうしてもその気持ちが過剰に強くなります。いつもはさほど周囲のことが気にならないのに、最近なぜか、「あの人」の発した言葉や態度が気になる。なんで私だけ……とくよくよ考え、自分が情けなくなる。次第に、自分をこんな気持ちにさせるあの人のことが嫌いになってきた。そんなときには、「あれ? 疲れがたまっているのかな」と振り返ってみましょう。