いよいよ佳境! イメージの世界で遊ぶ

 「これからさまざまなモノの名前を言います。それを思い浮かべたり、そこから自分が受ける感情や想像の世界をつくったりしてください」

 この頃だろうか。気付けば体が異常に重い。頭ははっきりしているが、体は床に根を張ったように動かない。

 「雪をかぶった富士山」

 先生は、ゆっくりと3回そう言った。
 頭に富士山が浮かぶ。山梨側からの富士だ。冬の冷たい空気まで感じる。

 正午の太陽
 奈良の大仏
 桜吹雪
 青くて深い海
 春の緑色の野原
 タンポポを食べる白いウサギ
 夕焼け雲
 夕方6時の玄関のドア……

 他にもさまざまなモノや情景を、先生は挙げていく。音や匂い、感触までが思い浮かび、楽しくてたまらない。

<先生の解説>
イメージを挙げることで、眠っている潜在意識を刺激しています。人によっては、つらい記憶が浮かぶ場合もありますが、やがて受け入れて流せるようになります。過去の出来事を浄化して、心の傷を癒す効果もあるのです。
体は寝ているが、頭の中では笑っている。幸いなことに、楽しいことしか浮かばなかった
体は寝ているが、頭の中では笑っている。幸いなことに、楽しいことしか浮かばなかった

「次に、11から1まで数えていきます。ゆっくり一呼吸が1秒です。数が分からなくなったら、11に戻って始めてください」

<先生の解説>
初心者は短めの11にしています。潜在意識が鍛えられると、最後まで数えられるようになります。

 (11、10、9、8……)

 そのとき、とんでもない雑念が私を襲った!