体はあなたの命そのもの

 「『きくち体操』では、動かすところに意識を向けながら、手足などの末端から、首や頭まで、全身をくまなく動かします。たったそれだけで、全身の筋肉を、無理なく強く育てることができます」と菊池さんは語る。

 教室をのぞくと、生徒さんたちは、手足の指を丹念に触ったり、動き具合を気にしながら、足首に意識を向けてゆっくり回したりしている。体操というより、まるで体の各部位と“対話”しているようだ。

 「第二の脳といわれる手や、足裏は脳と密接。そこをしっかり刺激して、意識を向けて動かすと、脳と体のつながりがよくなり、動かす効果が大きく違ってきます。動かすと脳が活性化することもわかっています」(菊池さん)

目がスッキリ! 肩もほぐれる「あごぱっくり体操」

 きくち体操の一例。口を静かに開けて、人差し指、中指の2本を目安に指を入れて、10秒キープ。顔の筋肉が刺激され、血流が改善。目がスッキリ! 肩もほぐれる。やりすぎると顎関節を痛める可能性があるので、一度に3回ぐらいが目安。

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 これまで、肩こりや腰痛、不眠などに悩む人たちの体が、動き続けることで劇的に変わる姿を見てきた。

 「動いて筋肉を育てれば、何歳からでも骨も動いて強くなり、筋肉に沿って流れる血管や神経、内臓の機能が高められます。逆にどんなに若くても、体を動かさずに筋肉が弱ると全身が衰えてしまう。体はあなたの命そのもの。あなた自身が動かして、よくしていきながら年を重ねていくのです」(菊池さん) 。

日経ヘルス 2018年11月号掲載記事を転載
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取材・文/新村直子 人物写真提供/ハルメク(撮影:鍋島徳恭) 写真(本)/中西裕人 イラスト/日の友太