こんにちは。ライターの大宮です。大衆居酒屋で僕と同い年の手塚宏美さん(仮名、39歳)と飲み交わしています。大手メディア企業に中途入社の正社員として勤務している宏美さんは、残業手当を含めると年収600万円を軽く超えています。家族を養える収入ですよね。しかし、好奇心も行動力も旺盛なのに他人に対しては過剰に遠慮がちな宏美さんは後ろ向きな発言を連発します。

手塚宏美さん(仮名、39歳)と会った酒場のメニュー。宏美さん、もっと食べましょうよ!

 「プロパー(生え抜き)の社員にはかないません。同い年とボーナスの額で数十万円も差があって驚きました。入社のときに総務部の人から『比べないように』と釘を刺されましたけどね。実際、優秀なプロパー社員とは能力差を感じることもあります」

 「他社の求人広告を見たりすると心が動くこともありますが、待遇なども考えると今の仕事に身を埋めるしかないと思ったりします」

 「腹が座っている後輩は、無職やアルバイトの夫を養ったりしています。でも、私は同じことをすると苦しくなる気がしてします。仕事を辞めて主婦になれるような相手がいいなと思っていました。でも、最近は難しいかなと思っています……」

 料理にほとんど手をつけず、伏し目がちに語る宏美さん。く、暗い! でも、僕は嫌いじゃありません。コンプレックスを隠して強がる人よりも一緒にいてはるかに居心地がいいです。僕も根暗な人間なので親近感を覚えるのかもしれません。

 結婚しないことよりも子どもを産まないことを後悔する気がする、とつぶやく宏美さん。実は、2年前にいきなりプロポーズされたこともあるのです。

 「会社の転勤で、ある地方都市に住んでいた頃です。婚活サイトに登録してみたら、ハイスペックな方から連絡がありました。当時43歳で、大企業のエンジニアをしている男性です。最初にお会いしたときに給与明細を見せてもらいました。関連会社に出向中だけど所属は大企業です」

 結婚とは生活です。ある程度スペックを重視して婚活するのは当然だと思います。でも、宏美さんはちょっと過剰です。自分がちゃんと稼いでいるので相手に過大なステータスを求める必要はないと思うのですが、宏美さんは見た目も立場も性格も「強い」男性に惹かれる傾向があるようです。

 「マスコミ業界には文化系こじらせ男子が多いですよね。私はあまり興味がありません」