宏美さんが婚活サイトで知り合った男性をタケユキさんとしておきましょう。彼は出張のついでに宏美さんが住んでいた町にやってきてくれました。「お金のことは気にしないでいいのでゆっくりできる割烹を予約してほしい」とのこと。宏美さんは駅から離れたところにある高級料理店まで自家用車で連れて行きました。

 「食事中は楽しく会話ができました。帰り道で私がまた運転していると、後部座席に座った彼が『俺に決めないか。海外経験も豊かな俺と暮らせば楽しいよ』と言うのです。ずいぶん押しが強いなと思いましたが、私にはこういう人が合うのかなとも思いました」

 次の週も会いに来たタケユキさん。来月から発展途上国に2年弱の駐在が決まっていることを明かし、「仕事に没頭するタイプだから連絡はまめにできないけれど、俺を信じて帰りを待っていてほしい」と宏美さんに伝えたのでした。事実上のプロポーズですよね。宏美さんはその場でOKをして、タケユキさんとのお付き合いが始まりました。

 連絡はまめにできないと断っていたタケユキさんですが、駐在先でもスカイプなどを使って宏美さんとのコミュニケーションは欠かしませんでした。一時帰国する際には必ず会っていたそうです。

 ただし、宏美さんは安心し切ってタケユキさんの帰国を待っていたわけではありません。ちょうど「プチモテ期」を迎えていたので、社内でも自分に好意を寄せてくれる男性がいることをタケユキさんにスカイプで伝えてしまいました。タケユキさんの返事は「男らしい」ものでした。

 「俺がキミを幸せにしてやるから(他の男からの誘いは)全部断れ」

 すごいですね。気丈な女性だったら「命令するな!」と反発してしまいそうなセリフですが、好きな男性には頼りたいと思っている宏美さんの耳には心地良く響いたのでした。その直後、宏美さんはタケユキさんの裏切り行為を見てしまったのです。明日に続きます。