この連載では、毎週火曜日に健康・医療専門サイト「日経Gooday」編集部の取材から、元気になる最新のカラダの話をお届けします。戦国時代の武将、真田信繁(幸村)を主人公にしたNHKの大河ドラマ「真田丸」が 盛り上がりを見せています。戦国の世の波乱に満ちたストーリーを楽しんでいる方も多いと思いますが、それに加えて興味深いのは、同時代に活躍した武将に長寿の人物が多いこと。平均寿命が短く、医学も進歩していなかった時代に、彼らはなぜ長生きができたのでしょうか。現代人にも大きな参考になる健康長寿の秘訣を、食文化史研究家の永山久夫さんにうかがいました。

優れた戦国の武将は健康寿命が長かった

 平均寿命が短かった戦国時代において、名のある武将には長寿の人が多かった。

 「真田丸」の主人公である真田信繁(幸村)の兄信之の93歳を筆頭に、鍋島直茂の81歳、宇喜多秀家の84歳、そして徳川家康毛利元就も75歳まで生きた。豊臣秀吉の62歳というのも、当時としては長命の部類に入るだろう。

 「真田丸」の主人公である信繁もまた、大阪夏の陣において49歳で討ち死にしなければ、兄に劣らず長生きできたかもしれない。

 「要するに、健康管理ができなければ戦国の世で生き残れなかったということだと思います。そして、ただ長く生きるだけでなく、いわゆる健康寿命が長くなくてはいけません。名のある武将は、年齢を重ねても頭脳は明晰でした。例えば、70歳まで生きた伊達政宗は最後まで、数多くいる家臣の名前はもちろん、出入り業者の名前も覚えていたといいます」(永山さん)。

 体も頭も健康であるからこそ、一族が敵味方に分かれて戦ったり、下克上が日常茶飯事だった時代で勝利者になれたわけだ。

 「食生活や気分転換の方法など、戦国の武将たちはさまざまな工夫をしていました。これは現代人の健康維持にも通じます。私たちの健康寿命を考えるうえで、歴史からサジェスチョンを受けるとしたら、もっとも参考になるのは戦国時代だと思います」と永山さんは強調する。