もともとは宇宙飛行士の不安解消のために開発された

 メンタルトレーニングは本来、宇宙飛行士の不安やプレッシャーを解消するために1950年代の旧ソ連で始められたもの。その効果が認められ、以降、各国でオリンピック強化チームの競技力向上のために導入されたほか、ビジネスや教育、芸能などの分野でも応用されるようになっていった。今や欧米の国々では、「ここぞ!」というときにパフォーマンスを上げるための心のトレーニングとして、各方面で生かされている。

 「日本でも近年になって徐々にメンタルトレーニングの重要性が認識されるようになり、最近はさまざまな資格が登場、自称専門家も増えました。しかし、本格的なメンタルトレーニングの指導を行うにはスポーツ心理学やスポーツ科学などの幅広い学びが必須。ですから、日本スポーツ心理学会が認定する『スポーツメンタルトレーニング指導士』の資格を所有しているかどうかを最低基準として専門家を見極めればいいでしょう」(高妻さん)。

 では、プレッシャーが高まったり窮地に陥ったときでも、気持ちが散漫になったり弱気になったりせずに済むようになるには、どうすればいいのだろうか。まず一つ言えるのは、「根性」でどうにかなるものではないということだ。