厳しく追い込むだけでは、本番に強い心は養えない

(C)PIXTA
(C)PIXTA

 重要な局面を前にして心が乱れているときに、周囲から「平常心で頑張れ!」「根性だ!」などと言われ、なすすべもなく困ったことがある人は少なくないだろう。そう言われて平常心を取り戻したり根性を出したりできるなら、苦労はしない。それができないから困るのだ。

 「日本では長年、根性主義やスパルタ主義が蔓延しており、口先だけで無茶に発破をかけるやり方が今も色濃く残っています。しかし、強い言葉で追い込まれたり厳しさの中で耐えたりしているだけでは、プレッシャーには打ち勝てない。逆境の中でも自分の心をコントロールする方法を習得しなければ、強さにはつながらないのです」(高妻さん)。

 ただしその方法は、ピンチの時にだけ都合よく使える特効薬ではなく、毎日の鍛練があってこそ生きるもの。技術力や体力を高めるために日々のトレーニングが求められるのと同様に、メンタルの強さもまた継続的にトレーニングをしてこそ養うことができる、と高妻さんは言う。