一方、アカイエカはもともと暗い夜間に活動するため、吸血するときに視覚のセンサーはあまり使われていません。寝ているときに顔のあたりを飛び回るのは、呼気による二酸化炭素のサインを感知していると考えらます。ただ、羽音が耳元で聞こえていても、夜は静かで音が響くため、実際には遠くを飛んでいることが多いようです。

【日本にいる人を刺す蚊-2-】夜間に吸血源を探し求めるアカイエカ
(資料提供:国立感染症研究所)

 アカイエカは、北海道にも生息していますが、沖縄には近縁種のネッタイイエカが分布しています。ヒトスジシマカと同様、都市から農村まで広範囲に見られます。鳥を好んで吸血しますが、人やイヌの血もよく吸います。成虫は3月頃から現れ、6月頃と9月頃の2回、発生のピークがあります。ヒトスジシマカが多くなる8月頃にはむしろ減り、秋に増えたあと、成虫のまま越冬します。

 アカイエカは夜間に活動が活発になる夜行性で、屋内にも侵入します。「待ち伏せ型」のヒトスジシマカとは対照的に、アカイエカは自分から吸血源を探し求めて飛び回る「探索型(ハンター型)」といえます。就寝中に飛び回り、「ブーン」という羽音で眠りを邪魔されるのは、ほとんどがアカイエカの仕業。仕留めようと明かりをつけると、物陰の暗いところに隠れてしまうため、実際に姿を見る機会は少ないかもしれません。見つけるのをあきらめて寝てしまうと、布団から出ている顔や手足などを刺されてしまいます。

筋肉の血管を吸っている蚊は捕まえやすい

 蚊は頭の先にある吻(ふん)と呼ばれる長い針状の口を血管に刺し、ストローのような舌の部分で血を吸います。よく、「蚊が血を吸っている間に、筋肉に力を込めると蚊は身動きがとれなくなる」といわれるのは本当で、血を吸っている筋肉にギュッと力を入れると吻が締められ、捕まえやすくなります。

 衣服で覆われている部分のほか、頭など体毛が濃い部分は、じゃまになるものが多いので刺そうとする蚊はほとんどいないでしょう。

この人に聞きました
津田良夫
津田良夫(つだ よしお)先生
国立感染症研究所・昆虫医科学部 主任研究官
岩手大学農学部農学科、岡山大学大学院農学研究科修了。長崎大学熱帯医学研究所にて、タイ、インドネシアなど東南アジアで疾病媒介蚊の生態を研究。2002年より国立感染症研究所・昆虫医科学部で媒介蚊の生態研究を続けている。専攻は昆虫生態学、衛生昆虫学。著書に『蚊の観察と生態調査』(北隆館)などがある。

文/田村知子=フリーランスエディター

日経Gooday「“O型は刺されやすい”ってホント?」を転載

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