ポジティブな言葉が心を前向きにする

 プラス思考になるための心理的テクニックとして、おすすめなのが「セルフトーク(独り言・自己会話)」だ。声を出さず心の中でつぶやく方法でも十分に効果がある。

 まずは試しに、次のようにつぶやいてみよう。

「やりたくない」「嫌だ」「無理」…。そして、自分の今の気持ちを観察してみるのだ。つぶやく前と比べて気持ちが落ち込み、ネガティブになっていないだろうか。

 続いて、「できる!」「ナイス!」「絶好調!」などのポジティブな言葉をつぶやき、再び自分の気持ちをチェックしてみよう。先ほどよりもずっと前向きな気分になっているのではないだろうか。

 「鏡で自分の顔を見ながら実践すると気持ちが高まります。笑顔になってポジティブな言葉でセルフトークをしてみましょう」と高妻さん。

 また、セルフトークに加え、周囲の人たちと積極的にポジティブなコミュニケーションをとることも有効だ。「褒めたり笑ったりし合うことで、頭の中はプラス思考に。気持ちが上向きになっていきますよ」(高妻さん)。

 重要な試合やプレゼンを前にすると、気持ちが萎縮してネガティブになってしまうこともあるだろう。しかし、「どうせダメだろう」というあきらめ感を持っていると、精神的にも縛られて力を出せなくなってしまう。

 そんなときこそ、「プラス思考になり『できる!』といった言葉で自己暗示をかければ、モチベーションを上げて理想的な心理状態で勝負に臨むことができるのです」と、高妻さん。

 未来に対するポジティブなイメージを思い描くプラス思考。さらに、それを言葉にして自分に語りかけるセルフトークを行えば、プレッシャーに負けない心のスイッチを入れることができるはずだ。

この人に聞きました
高妻容一
高妻容一(こうづま よういち)さん
東海大学体育学部教授
1955年宮崎県生まれ。福岡大学体育学部体育学科卒業、中京大学大学院修士課程体育学研究科修了後、1985年フロリダ州立大学博士課程運動学習・スポーツ心理学専攻に4年半留学。1993年州立フロリダ大学へ1年間の研究留学。近畿大学教養部を経て、2000年より東海大学体育学部へ。現在、教授。2015年にも半年間、米国へ研究留学(IMGアカデミー、オリンピックトレーニングセンター、フロリダ大学、大リーグのチーム等)。1985~2001年日本オリンピック委員会のメンタルマネジメント研究班員。1994年から日本メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会をスタートし、事務局・代表を務める。東海大学スポーツサポート研究会メンタルトレーニング部門担当。

文/西門和美=フリーライター

日経Gooday「結果を出す人は独り言が違う! 一流選手に学ぶ“プラス思考”法」を転載

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