マニュアルにとらわれず相手の気持ちになって考える

 こうしたやりとりの中で共通して言えるコツについて、杉本さんは「クッション言葉にバリエーションをつけると、相手の心に届きやすくなります」と話します。

 よく使われるクッション言葉には「恐れ入りますが」などがありますが、多用すると一辺倒な印象になりがち。そこで、シチュエーションによって使い分けると効果的です。

クッション言葉を上手に使いましょう (C)PIXTA
クッション言葉を上手に使いましょう (C)PIXTA

◆お詫びのときのクッション言葉
・恐れ入りますが
・恐縮ですが
・申し訳ございませんが
・申し上げにくいのですが
など

◆催促のときのクッション言葉
・お忙しいところ申し訳ございませんが
・お差し支えなければ
・できましたら
・もしよろしければ
・勝手を申し上げますが
など

◆お断りのときのクッション言葉
・申し訳ございませんが
・ありがたいお話ではございますが
・お役に立てず申し訳ございません
など

 「ただし、こうしたコツを踏まえた上で最も大切なのは、言葉に気持ちを乗せること」と杉本さん。

 どのようなケースにおいても、マニュアル通りに読み上げるだけでは相手の心に届くはずがありません。「自分本位にならず相手の気持ちになって考えてみれば、自然と言葉に気持ちが宿り、心に届く伝え方ができるはず。そうした心掛けこそが、相手との関係を良好にするのです」(杉本さん)

文/西門和美 写真/PIXTA

プロフィール
杉本 直鴻
杉本直鴻(すぎもと・なおこ)
SUGIコーポレイション代表取締役、日本秘書クラブ関東支部代表。魅力あるビジネスパーソンと企業のデザイン・分析に携わる。信頼感の獲得やCS向上といった企業のバリューアップを行いながら、パーソナルカラー、服装、表情、立ち居振る舞い、話し方、マナーなどのトータルコンサルティングを実施。秘書技能検定準1級面接試験審査委員、サービス接遇検定準1級面接試験審査委員としても活動している。