自己流にこだわって、一方的にほめ言葉を投げかけていませんか? 実はほめ言葉も、相手によって響くものと響かないものがあります。今回は、ほめても無反応な相手への「ほめテクニック」を公開しながら、「使えるほめ言葉」を増やす重要性を、ビジネスコーチの谷益美さんに解説してもらいました。「ほめ言葉一覧」も掲載しているので、ぜひ活用してみて。

無反応な相手に効く「根拠+Iメッセージ」

相手に響く言葉って、どうやって見つけたらいいのでしょうか イラスト/北村みなみ

 「Iメッセージ(アイ・メッセージ)」を使ったり、「存在承認」や「プロセス承認」「結果承認」を使い分けたりしながら、ほめることに慣れてきたでしょうか。「恥ずかしいけど頑張っています」という人もいれば、「相手から思うような反応が返ってこず、心が折れそうです……」という人もいると思います。

 積極的に人をほめるようになると、やはり相手の反応は気になるもの。世の中には「ほめられ下手」も多いので、誰もが「ありがとう」と素直に受け取ってくれるわけではありません。特に、照れるわけでも否定するわけでもなく、「反応がない」相手には、どうしていいか分からなくなると思います。

 そんな無反応な相手をほめるときのコツは、「根拠を添える」ことです。例えば「すごいね」「頑張ってるね」と声を掛けられても、具体的に「何がすごいのか」「何を見て頑張っていると判断したのか」を説明されなければ、言われていることの意味や意図を理解できず、ポカンとしてしまう人もいます。もちろん、彼・彼女たちに悪気はありません。根拠や理由が明確でない曖昧なほめ言葉が、「響かない」というだけのことです。

 曖昧なほめ言葉が響かない人には、「根拠」をハッキリと伝えてみましょう。「この前のデータありがとう。必要な情報がすべてそろっていて、資料作りがいつもより1時間早く終わったよ」「仕事が正確で速いから、〇〇さんがチームにいると計画通りに物事が進んで助かっているよ」など。「根拠+Iメッセージ」で伝えると、より相手に響きやすくなります。

自己流にこだわらず、相手に響くほめ言葉を

 その他にも、「人前でほめられるのが苦手」という人もいれば、「人前でほめられたほうがうれしい」という人もいます。つまり人の反応は一様ではなく、「それぞれに響くほめ言葉がある」ということです。

 重要なのは、投げた言葉が、相手に響いているかどうか。コミュニケーションは、一方的にボールを投げて終わりではなく、お互いに球を投げ合うキャッチボールのようなもの。相手からどのような球が返ってくるかは、投げてみないと分かりません。自分の得意なボールばかりを投げて、「何で捕れないの?」「何でこういう球を投げ返してきてくれないの?」と怒っても、それは理不尽というものです。相手からすると、いきなり変化球がきて驚いたのかもしれません。

 自分流のコミュニケーションにこだわっていると、合わない人とは合わないままです。平行線をたどり、いつか人間関係に行き詰まる時がやって来ます。もし、少しでも人間関係をよくして、相手との信頼関係を築きたいと思うのなら、自己流にこだわるのではなく、相手に合わせて投げる球を変えてみましょう。

 チームで仕事をしている人なら、それぞれのメンバーにはどんなほめ言葉が響くのか、相手の反応をメモして研究してみるのもよいと思います。キャッチボール気分で、「この人に響く言葉は何だろう?」と思って球を投げると、意外性のある反応も楽しめるはず。自己流にこだわらず、相手の様子を見ながら、受け取りやすいほめ言葉を探していくことが大切です。