ビジネスコーチの谷益美さんが、「ほめること」をテーマにお届けしてきた本連載「気持ちよく人を動かす『ほめ方』レッスン」も、いよいよ最終回。そこで今回は、読者の皆さんから寄せられた悩みやエピソードを、谷さんの解説を交えながらたっぷりと紹介します。連載で語られてきたことを思い出しながら、自分の体験も振り返ってみてくださいね。

読者の「ほめ」に関する悩みを解決

皆さん、「ほめること」「ほめられること」は得意になりましたか? イラスト/北村みなみ

 こんにちは、ビジネスコーチの谷益美です。第1回から第10回までは、「ほめる」ことや「ほめられる」ことをテーマに、職場での人間関係をよりよいものにするためのマインドやテクニックをお伝えしてきました。

 最終回となる今回は、本連載でお伝えしてきたことの復習も兼ねて、読者の皆さんのお悩みやエピソードをもとに、ほめポイントの解説をしていきたいと思います。

 それでは早速、皆さんが抱えるお悩みから見ていきましょう。

Q.年上の部下、どうほめたらいい?

◆年上の部下は、どのようにしてほめたらいいのでしょうか。私が指示を出しながら業務に当たってもらっているのですが、人生のキャリアとしては、明らかに相手のほうが先輩。他の人からは、「へりくだり過ぎ」と言われてしまい、困っています。(26歳、団体職員、企業支援)

A.「評価しよう」と思わず、感謝や敬意を「Iメッセージ」で伝えましょう

 この方の素晴らしいところは、きちんと相手のことを「人生の先輩」として敬っているところです。だからこそ「年上の部下」に対して、「失礼のないようにほめたい」と悩んでいるのではないでしょうか。この方のように、部下や後輩に対しても敬意を持って接することは、とても大切なことであり、見習いたい態度だと思います。

 その上で、「年上の部下」をほめるときには、「ほめる=評価ではない」という考え方を思い出してみてください。連載2回目の「みんなから好かれる人は、必ず『ほめ上手』 コツは?」で詳しくお伝えしましたが、私たちは普段、「期待以上」の成果を「評価する」ときにだけほめてしまいがちです。しかし、もっと気軽に考えて、誰かのすてきな部分を見つけて「いいね!」と言う。それ自体が、相手をほめることだと考えてみてほしいのです。

 このように考えると、「年上の部下」をほめるハードルは下がると思います。「○○をしてくれてありがとうございます」という感謝も、立派なほめ言葉のうちの一つ。無理に相手をほめようとしなくても、感謝を伝えることで、あなたの誠意は伝わるはず。まずは普段のコミュニケーションの中で、相手の目を見てしっかりと、「ありがとうございます」と伝えることを習慣にしてみましょう。

 そして、さらにステップアップしたい場合は、「Iメッセージ」を使うと効果的です。「Iメッセージ」は、「自分が相手からどんなポジティブな影響を受けたのか」を伝える方法なので、誰かを「評価」することにはなりません。そのため、「年上の部下」にも有効なテクニックだと思います。

 例えば、「いつもしっかりと○○をしてくれて、助かっています」「○○さんの××なところを、私も見習いたいと思います」など。相手の存在や行動から、自分がどんなにいい刺激を受けたのかを伝えると、素直に受け取ってもらいやすいと思います。

 相手が部下である以上、「仕事」に対する指示はしっかりと。でも、その人の「存在」や「行動」に対しては、感謝と敬意を示す。少しずつでいいので、ぜひ実践してみてください。

Q.ほめられたのに、うれしくないのはなぜ?

◆見た目がギャルっぽい顔立ちです。そのため、「見た目の割に真面目だね」と言われることが多いのですが、それだとほめられているのか、けなされているのか分からず、モヤモヤします。(28歳、不動産、広報)

A.「モヤモヤ言葉」には、本音を混ぜて感謝で返す

 この方が、複雑な気持ちになるのも分かります。「○○の割に……」というように、何かを引き合いに出されたり、比較されたりすると、素直に受け取れなくなりますよね。

 こうした言葉は、「ありがとうございます」と言って受け流すか、本当に嫌でつらいなら、本音を混ぜつつ、感謝で返すのがいいですよ。「いつも見た目で誤解されるのが悲しいんですよね。でも、分かっていただけてうれしいです」と、柔らかい表情と口調で言えば、本音を混ぜつつ、相手に感謝を伝えられます。テクニックが必要な返しにはなりますが、モヤモヤが解消されるきっかけになることを願っています。

 また、こうしたモヤモヤする「ほめ言葉」をもらったら、それは学びのチャンス。「なぜうれしくなかったのか」「どんなところにモヤモヤしたのか」を考えることで、自分が人をほめるときの参考になります。まさに、人の振り見てわが振り直せ。反面教師にして、自分のスキルを上げていきましょう。

 連載4回目の「クールな人に効くほめ言葉はコレ 響く言葉の見つけ方」でもお伝えしましたが、コミュニケーションは、一方的にボールを投げて終わりではなく、お互いに球を投げ合うキャッチボールのようなもの。どんな言葉を投げればよろこんでくれるのか。相手に響くワードを探すことが、関係性づくりの第一歩です。