こんにちは。「天気のヒミツ」連載の気象予報士 伊藤みゆきです。

 毎年のように「夏からずっと暑さが続いたかと思えば急に寒くなって、“秋”が短くなったよね」という声を多くききますが、この秋は、しっかり秋を満喫できているのではないでしょうか?

10月25日の「十三夜」の月と柿の木
先月の「中秋の名月」に続いて、「後の月」も楽しめた地域が多かった。この日は北風が強く、空が澄んだので一段と月が美しかった。

 昨年は東日本と北日本で9月の気温が低くなり、秋の気温は平年並みという結果でしたが、その前4年間は、夏の暑さを10月ごろまで引きずっていたので「夏からずっと暑くて秋らしさがない」と感じることが多かったのかもしれません。

 特に2年前の10月は、夏の高気圧とされる「太平洋高気圧」の勢力が強く、記録的に暑くなりました。東京では10月12日に31.3度を観測し、これまでで最も遅い真夏日の記録を更新したほどです。

 今年の10月は高気圧が次々に本州付近を通る「帯状高気圧」型の気圧配置が多く登場しています。

 この気圧配置の特徴は、(1)広い範囲で晴天が続き(雨が少ない)、(2)朝晩は冷えて、昼間は暖か、です。「太平洋高気圧」に覆われる晴天と違って湿気が少なく、夜間の気温が大きく下がるようになります。放射冷却現象が強まるためです。

図1 帯状高気圧に覆われたときの天気図
高気圧が東西に連なって本州付近を通過する形。高気圧が帯状に並んでいることから「帯状高気圧」と呼ばれる。10月16日夜は広い範囲で晴れたが、関東は高気圧と高気圧の間に入ったため、湿った空気が流れ込んで東京では冷たい雨が降った。(気象庁HPより)

 「帯状高気圧」型では、厄介なことと期待できることがそれぞれあります。厄介なことは

・昼間と朝晩の気温差が大きく、服装選びに困る

・空気が乾燥し夜間に冷えるので、喉や鼻の粘膜を傷めやすく、風邪引きリスク大

・空気が乾燥し昼間の陽射しが強いので、日焼けや肌トラブルのリスク大

・植物や農作物への水やり労力増

 などが挙げられます。

 一方、期待できるのは「美しい紅葉」です。

 葉がみずみずしく一斉に色づくには

・強い風雨にさらされない(葉が傷んだり落ちたりしない)

・昼間穏やかに晴れて、夜間との温度差が大きくなる(葉の色づきが順調に進む)

 ことが大切です。

図2 ここ30日間の日照時間
図3 ここ30日間の降水量
図4 ここ30日の平均気温
図2、3、4、ここ30日間の日照時間・降水量・平均気温の平年比。穏やかな晴天が続き、平年よりも日照時間が多く、太平洋側では雨が少ない。空気や地面の乾いた状態が続いている。気温が平年より低い所が多いのは、夜間の冷え込みが強い影響が効いている。昼間は陽射しの下ではまだ「暑さ」を感じ、体感温度は高め。(気象庁HPより)

 「美しい紅葉」の条件を満たしている地域も多いので、見ごろを迎えた九州や四国の山では「例年になく色づきが鮮やかだ」という評判です。

 9月半ばにかけての「平成27年9月関東・東北豪雨」の影響を受けた地域がやや心配ですが、9月後半からは穏やかな天気が続いているので、今後も木々が強い雨風にさらされないことを願っています。