サッカー好きの上司に合わせて、「タバコ部屋」でサッカーの話で盛り上がり、仕事後も試合観戦、そしてその後一緒に飲みに行く男性の同僚たちを横目に、キアスティンは悩んでいた。

キアスティン(34)。ケネディスクールにて

 プライベートでも上司と一緒に行動する同僚たちは、これらの時間に「根回し」や「アピール」を行い、仕事のチャンスを得ていることが明らかだったからだ。そのような「活動」を当たり前と考え、自慢する人もいた。

 タバコも吸わないし、サッカーにも興味がない。でも、上司に好かれ、さらには彼を取り巻く「ボーイズ・クラブ」に入るためには、多少の犠牲が必要なのだろうか。むしろ犠牲とは考えずに、努力として捉えるべきなのか……。

女性社員に不利 なんて不公平なの!

 ドイツの国営放送でニュース・キャスターを務め、イギリスのBBCや中国でも報道記者として活躍した、私の同級生のキアスティン(34)は、今でも前職でのこの悩みについて考えるという。

 「当時の私は、なんて不公平なのと、本当に怒っていた。だって、女性はどうしても家庭を持つと、仕事の後は子供の面倒を見なければいけないことが多い。そのような社会的構造の中で、仕事の根回しがプライベートの時間にまで進出して行われると、女性社員が不利なことが一目瞭然だったの」

キアスティンがドイツの国営放送でキャスターを務めている様子

 キアスティンは、割り切って自分もタバコ部屋に通い、サッカー観戦に付き合うことも考えたが、それではこの問題に加担する事になるのではないかと、危惧した。自分のそのような行動が、子育てと仕事の両立に奮闘している女性たちを、さらに大変な立場に置いてしまうのではと感じたからだ。

 「しかも多くの女性上司は、女性の部下と仲良くしていたら女性びいきと言われることを心配して、逆に距離を置いていた。私の味方はどこにいるのだろうと、悩んだ」と彼女は話す。男性と女性で明らかに異なる、上司との時間の過ごし方に違和感を抱きながら、仕事と向き合う日々が続いた。

 結局、キアスティンは他の女性社員にこの問題について相談をするなどして、問題意識を高めるよう努力した。しかし、ケネディスクールで2年間過ごし、さまざまな授業やセミナーを受講する中で、この問題の見方が少し変わったという。